セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ブッフォンの後を追う才能たち。
イタリアに名GKが生まれる理由。
posted2018/11/14 10:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
今季から、セリエAは“ゴールキーパー戦国時代”に突入している。
リーグNo.1キーパーの称号を20年間ほしいままにしてきた鉄人ブッフォンがパリへ去ったことで、空いた王位を巡って各クラブの守護神たちによる出世競争が勃発した。さながら各地方の個性派武将たちが天下を目指した乱世の覇権争いのようだ。
国際試合や大舞台での経験から頭一つ抜けているのは、文字通り王者ユベントスのゴールマウスを引き継いだポーランド代表シュチェスニと7季ぶりにCLの舞台へ戻ったインテルのハンダノビッチだろう。
イタリアでのプレー歴15年目のハンダノビッチは昨季のセーブ率3位(75.21%)を誇る(1位アリソン、2位ブッフォン)。最多クリーンシートのタイトルは18試合を完封した元スペイン代表レイナ(現ミラン)が奪取した。
1990年代の名手ゼンガはかつて「外国人GKはセリエAに馴染めない」と言ったが、それも過去の話だ。先週末に行われた12節10試合で、2本のゴールポストの間に立った外国籍GKは10人に上る。
ペルッツィやトルドらもいた。
現在のセリエAで外国人GKの活躍が目立つのは確かだ。
だが、イタリアは球聖ゾフを初めとして、サッカー史における偉大なキーパーを数多く輩出してきたことを忘れるわけにはいかない。'90年代には前述のゼンガを筆頭にパリューカ、ペルッツィ、トルド、そしてブッフォンといった時代を代表する名手たちが次々に現れた。
IFFHS(国際サッカー歴史統計連盟)が定める年間最優秀キーパー表彰において、1987年の第1回から昨年度までの延べ31人分の受賞歴を出身国別に見てみると、イタリアとドイツがともに最多8回で並び立っている。
イタリアから多くの一流キーパーが出てくるのは、なぜなのか。