第95回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER

3年生の区間配置が神奈川大学のカギ。
主力好調の國學院大學は1区がポイント。 

text by

箱根駅伝2019取材チーム

箱根駅伝2019取材チームhakone ekiden 2019

PROFILE

photograph byYuki Suenaga

posted2018/12/05 11:00

3年生の区間配置が神奈川大学のカギ。主力好調の國學院大學は1区がポイント。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

越川の復調が大きな収穫。

「予選会後は、誰を温存するべきかというところも考えなければいけないので。せっかくシード権が8位までと増えたので狙っていきたい気持ちもありましたが、箱根のシード権も欲しいので予選会に出た選手をあまり無理させても……。特に新人については無理をさせて疲労が出ても困るので、最後は箱根のためにと、どこかで何かを犠牲にしていかなければいけないと思っています」

 こう話していた大後監督にとってみれば、シード権に37秒遅れの10位という全日本での結果は、納得できるものだったのだろう。

 その中でも収穫はあった。

 特に最長区間の8区に起用した越川堅太(3年)が区間6位で順位を3つあげて、きっちり走り切ったことだ。予選会でも越川は、チームのエースである山藤篤司(4年)とふたりで走り、日本人トップ集団からは遅れたものの、最後は山藤を振り切ってチームトップの1時間2分51秒で15位に入っていた。

 越川は春シーズンは調子が今ひとつで、夏合宿でもナーバスになっていたというが、予選会では「トラックシーズンはうまくいかない部分は多かったけど、その中でも淡々とやって積み上げてこれたと思います。夏合宿も誰にも負けずに、予選会ではチームトップになるという自覚を持ってずっと練習が出来ていました。レース展開も最初からガツガツと自分の好きなように走れたので気持ちよくやれたと思う。まだ完成度は7、8割なので、これからギアも上がっていくと思います。鈴木(健吾/現富士通)さんの後継者になってエース区間を走りたいので、しっかり2区を勝ち取りたい」と意欲を口にしていた。

3年生の主力をどう配置するか。

 大後監督が箱根駅伝へ向けての最重要課題にするのは、1年次に3大駅伝を1人も走ることが出来なかった現2年生のレベルアップだ。裏を返せば、主力となる3年生には実績がある。

 前回5区でブレーキをした荻野太成(3年)は今年の夏場にヨーロッパ遠征にも行くなど、9月の日本インカレまでは3000m障害に専念して駅伝の準備は出遅れていた。それでも全日本は5区で区間8位と健闘。長い距離にも対応してきている。

 また、前回の箱根駅伝で6区を走って区間9位になっている安田共貴(3年)も「越川や荻野とは違って自分はスピードより長い距離で勝負したい」と語り、全日本ではエース区間の2区を走って区間賞に37秒遅れるだけと計算できる存在になっている。

 箱根駅伝本大会では、安田を昨年同様6区に起用する可能性もあるが、越川が2区を走り、3区に荻野、4区に安田を使えるようになれば、今年の全日本でも1区を走っている山藤を再びスターターで使えることになる。そうなれば出遅れることなく流れに乗れ、ハーフの力を付けた上級生の多和田を復路の切り札として温存できることにもなる。

 前回ブレーキした5区と、主力の枚数の少なさが大きな課題ではある。だが、自覚を高めてきている3年生の主力を往路の主要区間にどう配置できるか――そこが神奈川大学の最大の見どころになりそうだ。

【次ページ】 國學院大學

BACK 1 2 3 4 NEXT
神奈川大学
國學院大学
大後栄治
小笠原峰士
北崎拓矢
川口慧
多和田涼介
杉優一郎
成瀬隆一郎
森淳喜
越川堅太
山藤篤司
鈴木健吾
荻野大成
安田共貴
前田康弘
土方英和
浦野雄平
塩尻和也
藤本宏太
青木祐人
臼井健太

陸上の前後の記事

ページトップ