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原監督が3度目の就任初戦で見せた
巨人再建への“2つの道”とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2018/11/09 17:00
「GIANTS」の文字が刻まれたユニフォームに再び袖を通した原監督。2度目の復帰でどんな采配を見せてくれるか。
昨年のドラ1・鍬原が好投。
秋のエキシビションマッチという試合の性格もあったが、この試合では松原だけではなく8回に代打起用された石川慎吾外野手が中前タイムリーを放った。
投手では先発の高田萌生投手が3回で7失点、2番手の左腕・大江竜聖投手も2回で2安打1本塁打を浴びるなどしたが、9回にマウンドに上がった昨年のドラフト1位・鍬原拓也投手は、キレのあるストレートを披露してMLB打線を3人でピシャリと抑えるなど、来季への階段を確実に登ってみせている。
育てるためには補強が必要。
就任以来、大型補強ばかりが話題になるが、「勝つことがファーストミッション」と語る原監督には、持論がある。
それは「育てるためには補強が必要だ」ということだ。
勝つという前提の中で、例えば打線ならば投手を除いた8つのスポットの7つをしっかり固めれば、最後の1枠には我慢して若い選手を使い続けられる。ただ7つのスポットがなかなか固まらない状況だと、8つ目の打順でもそのときどきの調子のいい選手を使わざるを得なくなる。
「育てるためにこそ補強は必要なんだ」
第2次政権の時に坂本勇人内野手が急激に成長してきた裏側には、アレックス・ラミレス外野手や小笠原道大内野手ら補強で獲得した主力選手たちの“保護”があった。
彼らが打線の中軸を支え、ガンガン打ちまくったことで、若い坂本は調子が落ちたときにも先発で起用されて、そこから現在がある。
しっかりしたチーム、打線を作ることこそ、若い選手が育つ環境を整えることになる。そこからしかチーム再建の道はないということなのだ。