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原監督が3度目の就任初戦で見せた
巨人再建への“2つの道”とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2018/11/09 17:00
「GIANTS」の文字が刻まれたユニフォームに再び袖を通した原監督。2度目の復帰でどんな采配を見せてくれるか。
松原のランニング本塁打。
「宮崎(秋季キャンプ)で観て、監督がどうしても使ってみたいと言っていた選手。期待に応えた働きをしてくれたよ」
吉村禎章打撃総合コーチが明かしたように、育成から今年の7月に支配下契約にこぎつけた2年目の若手が躍動した。
4回1死二、三塁。第1打席で3球三振に倒れた和田恋外野手に代わって代打で起用されると、その初球だ。
クリーブランド・インディアンスの右腕、ダン・オテロ投手の143キロのストレートをはじき返した打球が左中間を抜ける。すると松原が一気にダイヤモンドを駆け抜けてホームまで生還してランニングホームランにしてしまったのだ。
そして6回に回ってきた2度目の打席では一塁内野安打で出塁すると、次打者の2球目にすかさず二盗。これが捕手の悪送球を誘って三塁まで進んだ。
元木コーチが称えた積極性。
「ホームランよりそのあとの盗塁に価値があったと思うよ。いきなりいけたということは、しっかり準備ができていたということ。ベンチにいるときから投手のピッチングや牽制の間合いをしっかり測って、そういう準備ができていたから走れた。そこが大事だと思う」
元木大介打撃兼内野守備コーチがこう絶賛すると、松原もその積極性を自分の持ち味とアピールする。
「入団したときからプロ初打席は楽しもうと決めていた。それが良い結果になって良かった。僕の立場は積極的に行かないと。失うものはないので、初球がストライクなら打つ、初球から走れるなら走る。それだけです」
ファームでは134安打でイースタン最多安打記録を塗り替えた「天才」が、新しい原巨人の方向を示した試合でもあったのだ。