プロ野球PRESSBACK NUMBER
西武・増田達至を変えた配置転換。
「中継ぎで周りが見られるように」
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/10/19 08:00

クローザーへの復帰も期待されるが、「それは首脳陣が決めること」と増田達至は語る。
伸びのある直球が戻ってきた。
クローザーを務めていたときには、自分の最も自信のあるボールで初球から勝負をしてきた。しかし現在は相手の打者の反応を見て、投げるボールを選択する楽しみも増えた。
約5週間の二軍生活を経て、ストレートのキレも増した。打者のバットがボールの軌道の下を通る、増田特有の、伸びのあるストレートで空振りをとれるようになった。
「自分が任された場所で結果を出すこと。とにかく結果を求めようと思ってマウンドに上がってきました。もし内容が悪かったら、また二軍行きだと自分でもわかっていましたから。そういう意味では二軍を経験したことで、今まで以上に、プロ入り1年目のように必死になれた。常に危機感を持てたこともよかったのかもしれません」
結果、ライオンズにとっての正念場ともいえる9月、味方の反撃へとつながる好投を幾度となく見せ、10年ぶりとなるリーグ優勝に貢献した。
「優勝のための戦力になったと言ってもらえるなら光栄です。このあとも、そう評価される仕事をしっかり続けていくだけ。ポストシーズンは、『負けたらアカン』という思いだけ頭に入れて、あとは余計なことを考えず、頭を整理して試合に臨みます」
今は目の前の試合のことだけ。
昨シーズンまでのポジションであるクローザーへの復帰も期待されるが「それは首脳陣が決めること」と、常に準備を整えて登板機会を待つつもりだ。
2018年シーズン、開幕前に語っていた「選手会長としてビールかけの乾杯の音頭をとる」という目標も果たした。
「あれはあれで、もう切り替えました。今は目の前の試合のことしか考えていません」
短期決戦であるポストシーズン、増田の力がさらにチームには必要となるはずだ。
