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西武・増田達至を変えた配置転換。
「中継ぎで周りが見られるように」 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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posted2018/10/19 08:00

西武・増田達至を変えた配置転換。「中継ぎで周りが見られるように」<Number Web> photograph by Kyodo News

クローザーへの復帰も期待されるが、「それは首脳陣が決めること」と増田達至は語る。

潮崎二軍監督の見解は。

 二軍で増田のピッチングを見た潮崎哲也二軍監督は言った。

「彼の場合は気持ちの問題。結果が出せずに自信を失っているように見えました。二軍の試合で抑えても、打たれても、その結果というのは増田の場合はあまり関係ない。彼のような一軍の投手はやはり一軍のマウンドで投げて、結果を出して、自信を取り戻していくしかないと思う」

 増田は当時を振り返る。

「自分では、上体と下半身がうまく連動していないという感覚がありました。もしかしたら、何年も試合で投げている間に、そういったフォームの細かいところが狂っていたのかもしれません。二軍で調整したことは、逆に自分を見つめ直すいい経験になったと思います」

 もちろん、勤続疲労もあっただろう。入団以来、大きな故障で戦線を離脱した経験はない。「二軍は思い切った調整ができる場所」という潮崎二軍監督の助言もあり、じっくりと時間をかけて再調整を試みた。フォームや体の使い方を見直しながら、トレーニングと走り込みに多くの時間を費やした。

“降格”ではなく前向きに。

 増田は当時を振り返る。

「一軍の試合はあまり見ていませんでしたね。まず、自分が思い通りに投げられないという悔しさもあって……。でも(二軍に)落ちたときは本当に悔しかったけれど、今はクローザーとか、中継ぎとか、そういったポジションに関係なく、チームに貢献できればいいなと思っています」

 8月21日に一軍昇格したあとは、クローザーではなく中継ぎ投手としてブルペンで準備した。昨シーズンの働きを思えば“降格”とも受け止められるポジションだ。

 しかし、増田は前向きだ。

「中継ぎというポジションになったおかげで、周りを見られるようにはなったと思います。“何が何でも抑えなければいけない”という思いより、試合の状況を見て、冷静に投げられる。そのせいか、これまであまり試合で使うことができなかった変化球も使えるようになりました」

【次ページ】 伸びのある直球が戻ってきた。

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