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大谷翔平の水原通訳が見た「翔平のぶちキレと可愛い日常」 チームメイトから「アメリカ人の彼女はできた?」と聞かれると…
text by

石田雄太Yuta Ishida
photograph byYukihito Taguchi
posted2021/07/13 18:00

あのときの翔平は、見たことがないほど、ぶちキレてましたね。マウンドで「今日は降りよう」という監督の言葉を伝えたときには無言だったんですけど、ベンチ裏に下がってから、ドーンとでっかい音がして……みんなも「ショーヘイが暴れてる」ってビックリしていました。僕としては、ヒジが張ってるという言葉をそのまま伝えたことを翔平が怒ってるのかなと心配になって、その夜、SNSで自分の心境を長々と説明したんです。そうしたら、「OKでーす、大丈夫ですよ」みたいな返事をくれたので、ホッとしました。
音楽もゲームもマンガだって。
でもその後、DLに入ってからの翔平は凹んでましたね。明らかに口数が少なかったし、どんよりと、珍しく落ち込んでる空気がすごく出てました。大丈夫って訊かれるのもイヤだろうし、そっとしておくしかないなと……だからあのときは必要最低限の食料の調達とか買い物を手伝うだけにしていました。翔平は車の免許がないので、出かけるときは僕が運転するんですけど、家も近いので、ほとんど一緒に行動しています。車の中では、僕か翔平の携帯をつないで音楽をかけてますけど、最近だとGLAYと米津玄師をよく聴いてますね。翔平はそういうことにはまったく無頓着で、好きなアーティストもとくにいないみたい。いいなと思った曲を聴いてるようです。
翔平って、センスがあるんです。ユーモアもありますし、シャレもうまい。そういうところをもっと外に出せばいいのにと思うんですけど、本人は「そういうのは出さないからいいんですよ」って言ってます。野球以外に趣味がないって言われてるみたいですけど、そんなこともないと思いますよ。ゲームも好きだし、マンガにもめちゃくちゃ詳しいし……共通の話題になったのは井上雄彦さんの『SLAM DUNK』ですね。僕はミッチー(三井寿)が好きで、翔平は仙道(彰)一筋です。