濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
DDTでササダンゴがパンダと激突!
パワポの名手が語る“勝利”の定義。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byDDT PRO-WRESTLING&Norihiro Hashimoto
posted2018/10/17 07:30
DDTの10.6根室、10.7札幌大会でアンドレザと司令塔サムソン宮本に前哨戦を仕掛けたササダンゴ。笹がパンダを食う方法は?
「太ってる人の中で誰よりも健康」
一昨年、心臓の病気になってから、ササダンゴは徹夜をしなくなったそうだ。血圧もコレステロールも気にしており「今はたぶん、太ってる人の中で誰よりも健康」とのこと。夜7時をすぎたら仕事はしたくない、とも言う。
「新潟の旨い酒と肴、楽しい仲間が待ってるんでね。東京にいると、何時まででも仕事しちゃうでしょ、のめり込んで。でも僕らの仕事って、準備は客観的にやるべきなんですよ。
いくら制作物が破天荒でくだらないものであっても、試合中にはのめり込んでも、準備は冷静に、客観的に、ロジカルに。僕はパワポ作りも会社、つまり金型部品を作る工場で作業してます。言ってみれば、魔法がない場所ですよ」
リングに熱狂を生み出す魔法には、客観とロジックが欠かせないということか。そもそも試合場でまずやることがノートPCを使ってのプレゼンテーションだから、絵面としてもロジカルではある。プレゼンしているのが体重100kg超のマスクマンだというだけで。
棚橋 in『情熱大陸』を『マッスル』創始者はどう見た?
仕事への姿勢という話をしていて思いついたので、ササダンゴに先日放送された『情熱大陸』棚橋弘至出演回の感想を聞いてみた。この番組のエンディングで流れる曲「エトピリカ」を『マッスル』では試合中のスローモーションシーン(実際に選手がゆっくり動く)で使用してきた。番組を見たプロレスファンは、ほぼ全員そのことを思ったはずである。
「見ましたよ僕も。もう両膝を叩いちゃいましたね。“これだ”って。あの番組で棚橋さんが見せたのは、技術点と芸術点で言えば芸術点、体力や運動能力よりも感情のプロレスだった。実際それって、僕らが『マッスル』でやろうとしてたことですから。それを棚橋さんが『情熱大陸』で見せている。僕はこれ、棚橋さんが『マッスル』に出たようなものだと思ってますね」
いずれササダンゴ自身が仕事論を語る姿を、日曜夜にTBSで見ることもあるのだろうか。
「いやいやいや、ないですよ。それはない。“分かってたまるか”と思ってやってるんですから、申し訳ないけど。
1つひとつの表現は分かりやすく、世間に伝わるように。でも僕全体の頑張りとか価値を分かってもらおうとは全然思ってない。分かりやすいことをやるためのプロセスは、分かりにくくあって然るべきです」