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Bリーグに代表が与える巨大な影響。
馬場雄大は八村と渡邊を意識する。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/10/13 17:00
9月17日のイラン戦では9分間の出場で1得点に留まった馬場。故郷・富山でのホーム2試合では得点、リバウンド両面で貢献への期待がかかる。
渡邊「自分がやってきたことの証明」
日本のフリオ・ラマスHC(ヘッドコーチ)は、マンツーマン主体のディフェンスへと変更を指示したが、相手の攻撃がスカウティングと異なっていたため、守備がはまらなかった。守備が機能しなければ、カザフスタン戦のようにファーストブレイクからの得点も狙えない。
とりわけ、イラン代表のベヘナム・ヤハチャリに3本の3Pシュートを含めて5本のフィールドゴールを許してしまい、31-35で前半を折り返す苦しい展開だった。
これを受けてハーフタイムにラマスHCが、ヤハチャリのマークを渡邊へと変更する。渡邊はアメリカで鍛え上げたディフェンスでヤハチャリを抑え込み、第3Qには1本のフィールドゴールも許さなかった。日本はその第3Qで26-8とイランを圧倒して、逆転に成功。最終的には70-56でイランを下し、2連勝を飾った。
試合後に渡邊は自分のパフォーマンスについては満足できないと謙遜したが、イランを56点に抑えたのは彼の守備での奮闘あってのことだった。加えて、チーム2位の18得点も記録している。守備については、自分に厳しい渡邊もこう語った。
「自分ができること……特に後半のディフェンスなんかは、今までの自分がやってきたことの証明だったのではないかなと思いました」
そして、八村もチーム最多となる25ポイントで勝利に貢献した。
富樫「『負けてはいけない』という気持ち」
試合後に、司令塔の富樫勇樹はこう語った。
「塁と雄太の2人が参加してくれたこの2試合は、むしろ『負けてはいけない』という気持ちで全員がプレーしていたと思います。それが結果に出て良かったです」
そして語られるべきは、選手の気持ちがこもったプレーが、イラン戦の会場となった大田区総合体育館につめかけたファンに乗り移ったこと。そして選手の気持ちが乗り移ったファンが、今度は選手たちの背中を押した。
渡邊や八村は試合前のウォーミングアップから観客を盛り上げるためのプレーを見せ、試合の流れを左右する局面でシュートを決めれば、派手にガッツポーズを見せてアリーナにつめかけたファンをあおり、ともに戦うように強く求めた。
日本バスケットボール史上、相手チームが最もプレーしづらいと言われるほどの会場の空気は、もっと語られるべき事実だ。日本で第3のプロリーグとしての地位を築いたバスケットボールの魅力は、観衆が試合に関与できる割合が野球やサッカーと比べて大きいところにある。