“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
10年前のドラフトから考えるDeNA。
即戦力欲しさで迷走した辛い時代に。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/10/11 10:30
2007年春、ピンチの場面で早大エースの斎藤佑樹に声を掛けにいった捕手・細山田武史。
斎藤佑樹の女房役からの脱皮。
細山田は、斎藤佑樹(日本ハム)の2学年先輩で、リード面だけでなく、ファンとマスコミに追われる斎藤を精神的にサポートした、という働きもあった。
早大時代は肩が強い印象はなかったが、プロ野球を辞めたあとに入社したトヨタ自動車で見事に変身してみせた。
'16年の都市対抗1回戦では二盗を企図した走者を1.91秒の二塁送球で殺し、強肩をアピールしている。
2位藤江均(投手・東邦ガス)は高校卒業後、クラブチームの「NOMOベースボールクラブ」に入り、2年目にチーム初の都市対抗出場の原動力になっている。野茂英雄直伝のフォークボールを武器に'11、'12年はリリーフとして47、52試合に登板するが、'15年に移籍した楽天を退団、その後アメリカの独立リーグで投げ、'16年限りで引退している。
ドラフトはバランスが一番大事。
3位山崎憲晴(遊撃手)は横浜商科大では守備名人で知られていた。横浜ベイスターズでは通算171安打に留まるが、'13、'14年には100試合以上に出場し、59、74安打を記録している。レギュラーの座まであと少しで手が届くところまで引き寄せていたが……倉本寿彦など若手との競争に敗れた形で成績が後退した。'17年オフに戦力外となり、その後、トライアウトを受け、阪神タイガースに入団している。
5位の小杉陽太(投手・JR東日本)まで含めて、この年の獲得選手は全員それなりの数字を残しているが、大きく羽ばたく選手はいなかった。
前年まで続いた分離ドラフトで獲得した高校卒の山口俊(投手・柳ヶ浦高校)や梶谷隆幸(内野手・開星高校)が結果を出したのはもう少し先の話だ。
即戦力欲しさに、わずかでも成績を残した大学生&社会人を指名したのだろう……ただ、あとになって振り返れば分離ドラフトでもこの'08年のドラフトでも、即戦力として期待した大学生&社会人は全滅に近かった。
やはりドラフトはバランスが大事、ということを痛感させられる年となった。