錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER

錦織圭の復活レベルはほぼ100%。
ただ危険な実力者が続々と台頭。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2018/10/10 11:30

錦織圭の復活レベルはほぼ100%。ただ危険な実力者が続々と台頭。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

楽天オープンで準優勝に終わった錦織圭。ノーシード相手でも気を抜けない対戦が続くのが今のテニス界だ。

ベテラン、若手ともに充実。

 長年“ビッグ4”が支配していたツアーの構図が崩れ、その裏でじっと力を蓄えていたベテランがそこへ入り込んできた。10年もの間グランドスラムではベスト8が最高だったのに、この1年あまりの間に全米オープンとウィンブルドンで決勝に進出した現在32歳のケビン・アンダーソンなどは代表的だ。

 そのアンダーソンは、「賞金の高額化によって、トップだけでなく多くの選手がコーチやトレーナーを帯同することができるようになり、選手寿命が伸びた」と指摘していた。それは選手寿命だけでなく、近年の選手層の厚さの変化にも通じるに違いない。

 加えて若手の突き上げだ。昨年から、21歳以下だけのツアーファイナルズ『ネクスト・ジェン・ファイナルズ』が始まり、次世代スターの育成キャンペーンが効を奏している。

 メドベージェフは昨年のセミファイナリストで、今年もミラノで開催されるその大会に向けたレースで上位争いを繰り広げているのが、いずれも今回の楽天オープンで存在感を示した19歳のデニス・シャポバロフであり、20歳のステファノス・チチパスであり、19歳のアレックス・デミノーである。

 錦織はツアーを離れている間に起こっていた変化を、復帰前から確かに感じとっていた。昨年末、「敵はトップの選手だけじゃない。層が厚くなっているのを肌で感じているので、復帰してから大変なことは覚悟している」と話していた。トップを倒す力があっても、次から次へと挑みかかってくる相手に対してギアを上げ続けなければ、優勝はできない現実。

 メドベージェフに敗れてベスト4だったシャポバロフは、「僕たちの世代にはトップ100、200にも才能のある選手がまだまだいる。来年はもっと変わるし、もっとおもしろくなる」と目を輝かせた。ビッグ4全盛時代とはまた異なる苛酷な時代が本格的にやって来たようだ。

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