“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
10年前のドラフトから考える西武。
浅村栄斗の爆発と坂田遼の貢献。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/10/08 11:30
2018年8月19日。“フルスイング”浅村栄斗によるこの試合2本目の本塁打は、逆転満塁本塁打となった。
坂田の存在は非常に大きかった!
この坂田は'06年希望枠の岸孝之(現楽天、東北学院大学)や、'10年以降に続く秋山翔吾(3位・八戸大学)、山川穂高(2位・富士大学)、外崎修汰(3位・富士大学)、多和田真三郎(1位・富士大学)という地方大学をターゲットにした戦略の草創期にいる選手である。
坂田がまったく戦力にならなかったらこれほど強気に秋山以降の東北の大学生を3位以上で指名出来なかったかもしれない。
そう考えると、私が考える成功基準には達していないが、通算打率.244、安打179はスカウティングに勇気を与えたと言っていい。
浅村に感じる大阪桐蔭の良さ。
当然ながら、この年のドラフトにおける最大のヒットは浅村栄斗だ。
母校・大阪桐蔭の特徴である積極打法をこれほどプロで体現している選手はいない。
'13年に打率.317、安打172、本塁打27、打点110を挙げ、パ・リーグの打点王を獲得。初球ヒッティングの打率は.304と高く、初球打ちの打数は112を数えた。これは'13年のナンバーワンで、2位は外国人選手となるマートン(阪神)の108である。
そもそも初球打ちが100打数以上ある選手は非常に珍しい。スカウティングする中学生の基準を「積極的に打っていけるかどうか」に置いている大阪桐蔭の卒業生というのがしっかり納得できる。
「大阪桐蔭出身者」の視点で見ると、浅村の指名は'01年の中村剛也以来である。
そして浅村が初めてタイトルを獲った'13年に森友哉(1位)、岡田雅利(大阪桐蔭高校→大阪ガス、6位)という同校の後輩、先輩が指名された。
浅村を通して大阪桐蔭のよさが見えていた部分もあったのかもしれない。