藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER

川島永嗣は移籍決定前も泰然自若。
藤田俊哉と語り合った日本人GK論。

posted2018/09/27 17:00

 
川島永嗣は移籍決定前も泰然自若。藤田俊哉と語り合った日本人GK論。<Number Web> photograph by Getty Images

ロシアW杯で注目を集めた川島永嗣。ヨーロッパで長年にわたってプレーを続ける実力を持ったGKであることはれっきとした事実である。

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藤田俊哉

藤田俊哉Toshiya Fujita

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 新シーズンのヨーロッパフットボールが幕を開けた。各国ともリーグ戦はすでに数節を消化して、夏の移籍マーケットは8月31日をもって終了。CL、ELの本戦もスタートし、シーズン終了まで激しい戦いが続く。

 今シーズンは直前にロシアW杯が開催されたため、出場選手のリーグ戦に向けたコンディション作りは非常に難しい。加えて近年はヨーロッパの夏もかなりの暑さで、湿度も高い。通常なら夏でも過ごしやすいぶんだけ自宅にエアコンがないのが一般的で、もちろん私の家にもない。

 だが今年は、家電ストアの扇風機がどこも売り切れたと聞く。選手の体調面が心配されるほどの暑さなのだ。リーグ開幕当初はそんな環境でのゲームやトレーニングが続き、コンディショニングの難しさは通常のW杯イヤーの比ではなかった。

 そんな過酷な夏がやっと終わり、バカンスを満喫したヨーロッパの人々が全ての情熱をフットボールへ注ぐ時期に入る。なにより選手にとって、プレー環境が最高の季節になる。ヒートアップする戦いが今から楽しみである。

久保裕也のスケールアップに期待。

 今季も多くの日本人選手がヨーロッパでプレーしているが、開幕から今日までは、総じて苦しんでいる印象だ。もっとも、W杯を戦った選手は充分な休暇が取れていない。またクラブに合流してから開幕までの準備時間も短いため、調整不足で苦しむのも無理はない。

 また新天地でスタートを切った選手なら、新たな環境に慣れるためにさらに時間が必要になる。そういう意味では、開幕で出遅れた選手の巻き返しにそろそろ期待したいところだ。

 そんな中でヘントからニュルンベルクに加入した久保裕也は、早くもトップ下のポジションを掴んだ。のびのびとプレーする彼の体は以前よりも大きく見えた。

 現在はトップ下でプレーしているが、9番(センターフォワ―ド)でのプレーも経験することで、前線で体を張りタメを作れる選手になれば、さらにスケールアップする。久保の持ち味は得点力、ドリブル突破だが、安定したキープ力が加わればバランスの取れたFWとして、日本代表のエースになれると感じている。

【次ページ】 井手口はドイツ移籍で初ゴール。

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