リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
スペースを自在に操るアスパスは
リーガ最強の国産ストライカー。
posted2018/09/28 10:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
現在、リーガ最高のストライカーは間違いなくメッシである。
そのプレーはフォワードの枠に収まらなくなったが、得点のペースは変わらず、昨季も34ゴールを決めて通算5度目の最多得点者となった。ちなみに1試合平均得点は0.97で、過去10シーズンで計算すると1.03となる。
それでは、「スペイン出身で最も優れたストライカー」は誰かというと、最有力候補に挙げるべきはセルタのイアゴ・アスパスだろう。
アスパスはスペイン人として2シーズン連続最多得点者となり、ここ2年、マルカ紙が主催するサラ賞(スペイン国籍保有者を対象とするリーガ最多得点者賞)に輝いている。
決定率が非常に高く、昨季は34試合に出場して1試合平均2.8本のシュートを放ち、22得点している。
加えて、オフサイドが少ない。昨季は1試合平均わずか0.3回である。
そのうえアスパスには、チームプレーヤーとして評価すべき特長もある。まず、パスがうまい。昨季のパス成功率は78.8%だ。また、チームメイトの枠内シュートに繋がった「キーパス」は1試合平均2本。これは、得点ランキング上位者の中ではメッシに次いで多い数字である。
ボールを持たずとも見せる匠。
ボールを持っていないときの動きが巧みなことも、彼のスペシャリティと言える。
選手が極端に密集することのないセルタの試合であれ、幅20m少々のエリアに敵味方のほとんどがしばしば入り込むスペイン代表の試合であれ、アスパスは然るべきタイミングで然るべき方向へ動き、攻撃を展開させる。天性のセンスをもって味方のためにスペースを作り出し、相手の守備ブロックに揺さぶりをかけている。
例えば、ロシアW杯直前に行われた国内紙のインタビューではこんな“技”を披露していた。