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川島永嗣は移籍決定前も泰然自若。
藤田俊哉と語り合った日本人GK論。 

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藤田俊哉

藤田俊哉Toshiya Fujita

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posted2018/09/27 17:00

川島永嗣は移籍決定前も泰然自若。藤田俊哉と語り合った日本人GK論。<Number Web> photograph by Getty Images

ロシアW杯で注目を集めた川島永嗣。ヨーロッパで長年にわたってプレーを続ける実力を持ったGKであることはれっきとした事実である。

井手口はドイツ移籍で初ゴール。

 グロイターフュルトにレンタル移籍した井手口陽介も、初先発の試合でヨーロッパでの初ゴールを決めた。今もコンスタントに先発していて、コンディションをキープすれば必ずチームの中心になれる。

 現在は攻撃的MFでプレーしているが、本職としている6番(センターハーフ)で縦横無尽にピッチを駆け回り、相手からボールを奪取して攻撃の起点となるプレーヤーになってほしい。

 低い体勢から相手選手の懐に素早く体を入れてボールを奪える井手口なら、体が強い外国人選手を相手にしても力を発揮し、カンテのような選手になれるはずだ。

 昨シーズン大きく成長した伊藤達哉(ハンブルガーSV)の、キレのあるドリブル突破にも注目している。右足アウトでボールを運んで中央へカットインするドリブルは、ボールを奪いに来る外国人選手に効果的。縦に抜くドリブルに磨きがかかれば、このカットインはこれまで以上に相手への脅威となるだろう。

ストラスブールに移籍の川島。

 若手に注目する一方で、ひとりのベテランの挑戦からも目が離せない。

 ストラスブールに移籍した川島永嗣だ。

 ベルギーでの海外初挑戦から今日まで、彼は常に自分の力で逆境をはねのけてプレー機会をつかんできた。ヨーロッパで外国人選手がGKのポジションを確保することは想像以上に難しい。

 なかでもアジア人が挑戦することは、それ自体が無謀だと語るヨーロッパのクラブ関係者も少なくないほど。つまりフィールドプレーヤーとは、比べ物にならないほど高い壁があるのだ。日本とヨーロッパの選手のレベルを比べたとき、その差がもっとも大きいポジションがGKだろう。

 そのGKとして川島は5年以上にわたってヨーロッパでプレーし続け、3度のW杯にも出場した。彼のたくましさは他に比べる者がないほどだ。一時は所属クラブがない状態になりながらも踏ん張り、ロシアW杯でも最後までゴールを守り抜いた。

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