ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
男子ゴルフの視聴率、観客数が上昇。
石川遼の日本復帰に加えて理由は?
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/09/14 07:00
石川遼の存在は浮上の強力なきっかけではあるが、これをツアーのベースアップにつなげていく必要がある。
現地観戦のギャラリーも増加傾向。
会場に足を運ぶギャラリーの数にも変化がある。
アジアンツアーがホストするシンガポール、ミャンマーでの開幕2試合を除く10試合のうち、悪天候のため3日間競技になったセガサミーカップ、そしてフジサンケイクラシック以外の8試合で来場者数増を記録した。ここまでの平均で1試合あたり1万5806人、1日あたりにすると3951人となった。
一方で女子ツアーは苦戦している。日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯までの27試合のうち15試合で前年より減少。ちなみに1試合あたりの平均来場者数は1万4224人だが、3日間競技が大半を占めるため、1日あたりにすると4414人と男子を依然上回る。
数字だけ並べると、男子ツアーは復調傾向のようである。ただし、これで選手やスポンサー関係者が満足したり、試合数が一気に増加するようなレベルにはない。
そもそも女子にはいまも“負けている”。石川がプロデビューした2008年の来場者数は1試合あたり2万1688人を記録した。その時代、あるいはAON時代を知る人たちからすれば、盛り上がりに欠けると思われるのも当然だ。
ゴルフ好きの外側にはいまだ届かず。
視聴率においては「4%、5%というのはあくまで“ゴルフ好き”の方だけが観ている数字」とある局のプロデューサーは言う。
「ゴールデンタイムでも2ケタ%に届く番組が減っている時代。スポーツ中継では大変。今年は夏の甲子園が20%を記録した(決勝戦/関東地方で平均20.3%)が、あれも情報番組などによる“ムーブメント”の影響が大きい」
ゴルフ中継の視聴者層は依然としてM3層(50歳以上の男性)が中心で、その他の層を取り込むのがカギとされているままだ。
多チャンネル化、インターネットの影響で若者のテレビ離れが進み、「10年前に15%の視聴率を取るよりも、今10%取る方が難しい」というのが業界の現状だ。確かにテレビだけをメディア指標として扱うのは時代にそぐわない。