Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保U-21、アジアの頂点に王手。
決勝の相手は兵役免除がかかる韓国。
posted2018/08/30 11:50
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
初戦のネパール戦と比べると、見違えるようになった。
ボールへの執着心、戦う姿勢、球際における強さが――、である。
その最たる例が、疲労困憊の時間帯に生まれたゴールシーンだった。
アジア大会準決勝のUAE戦。0-0で迎えた78分、左サイドからのクロスをカットされてカウンターを浴びそうな場面で、ボランチの渡辺皓太(東京ヴェルディ)がタックルを見舞ってボールを奪い取り、すぐに上田綺世(法政大)にパスを通して決勝ゴールを導いたのだ。
これには森保一監督も「皓太の良さが出た、素晴らしい守備からの得点だったと思います」と称賛を惜しまなかった。
「疲労が出て少し後ろで休むというか、ポジションだけ取るっていうことも考えられるなか、皓太が良い集中を持って、相手がボールを動かすところを狙ってくれた。疲れているなか、気迫の表れたプレーかなと思います」
疲れていても身体が自然と動く。
もっとも、気迫の表れるプレーを見せたのは渡辺だけではない。
ラウンド16と準々決勝との間が中2日、この準決勝に至っては中1日という厳しいスケジュールのアジア大会男子サッカー。おまけに、キャプテンのMF三好康児(北海道コンサドーレ札幌)が準々決勝で足首を負傷して出場できない状態でDF板倉滉(ベガルタ仙台)も出場停止だったため、メンバー変更の選択肢も限られた。
そのためプレーからは疲労が感じ取れたが、それでもチーム全体でボールを追いかけ、ボールを失えばすぐに守備へと切り替え、球際でしっかりとバトルしていた。
今大会ではボールを握るときと裏を狙うときのメリハリが格段に良くなったが、サッカーの本質の部分――攻守の切り替え、ハードワーク、球際での競り合いも間違いなくチームに浸透している。それも、疲れていても身体が自然と動くレベルで。