Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保U-21、アジアの頂点に王手。
決勝の相手は兵役免除がかかる韓国。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2018/08/30 11:50
上田綺世(15番)の決勝点を喜び合うU-21日本代表。決勝では日韓戦という最高にしびれる闘いが待ち受ける。
球際での粘り強さが浸透中。
そのきっかけとなったのは、ベトナム戦だった、と渡辺は言う。ベトナム戦とは、相手のハイプレスの餌食となって開始3分に失点し、及び腰のまま前半を終え、ハーフタイムに指揮官によって叱責されたグループステージのゲームである。
「ベトナム戦では個人、個人が負けて、ああいう試合になってしまった。二度とああいう試合をしないように、とすごく意識して決勝トーナメントを戦えていると思います」
一方、指揮官は選手たちの強い気持ちの表れだと見ている。
「もちろんチームコンセプトとして攻守の切り替え、球際のところで強くいく、粘り強く対応するといったことを働きかけていますけど、私がというより選手たちが本当にこだわってやってくれている。
試合をモノにしたい、勝って次の試合に進みたい、決勝で輝きたいという気持ちを持って選手たちはトライしてくれた。選手たちは1試合ごとに成果と課題を次の試合に活かしてくれている。今日も本当にキツかったと思うが、そのベースの部分を示してくれたと思う」
「出していい!」と初瀬が叫ぶ。
勝利への強い欲求は、こんな場面にも表れている。
1点リードで迎えたUAE戦の試合終盤、タッチラインを越えようとするボールを無理にマイボールにしようとした味方に対して、逆サイドにいたMF初瀬亮(ガンバ大阪)が大声で「出していい!」と叫んだのだ。初瀬が声を出していたのは、その場面だけに限らなかった。
「蹴っちゃって、1回リセットしてもいい。あそこで同点に追いつかれるほど苦しいことはないですから。みんなが連戦できついなか、(3試合ぶりのスタメンだった)自分が鼓舞することによって勝利に近づけるんじゃないかって」
2試合続けて延長戦を戦ってきたUAEが日本以上に疲れていたこともあり、ほとんど決定的なチャンスを与えることなく、1-0で振り切った。