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札幌・都倉賢、32歳にして覚醒中。
「自分の取り扱い方が分かった」 

text by

渡辺功

渡辺功Isao Watanabe

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/08/30 11:15

札幌・都倉賢、32歳にして覚醒中。「自分の取り扱い方が分かった」<Number Web> photograph by J.LEAGUE

空中戦の強さはJリーグでも随一。大器晩成を絵に描いたような都倉賢は、今やコンサドーレの旗頭だ。

ミシャ就任でさらなる覚醒が。

 クラブはそこに安堵することなく「コンサドーレが今まで見たことのないステージにチャレンジする。さらなる高みを目指して、クラブに攻撃の遺伝子を植え付ける」(野々村芳和代表取締役社長CEO)ためにと、新たにミハイロ・ペトロヴィッチ監督を招聘した。そのことも間違いなく、今シーズンゴールが増えている大きな要因だと、都倉は話す。

「チームが安定してボールを握れるようになったなかで、自分がより攻撃にパワーを注げるウエイトが増えた。ミシャ(ペトロヴィッチ監督)をはじめ、コーチングスタッフ、チームメイトがいまの札幌のサッカーを築いてくれたからこそ、僕の良さがさらに生きて、得点につながっているのだと思う」

 昨シーズンはリーグ戦34試合でチーム総得点39だったのに対し、今シーズンすでに32得点。1試合平均に換算すると1.15点から1.39点に増加している。23節のFC東京戦は、0-2から3得点しての逆転勝ちだった。

 続く清水戦も先制点は許したが「今年のチームなら、90分を通して無得点では終わらない」からと、下手に焦ることも慌てることもなく逆転に成功した。ここまでの10勝のうち、じつに半分の5勝が逆転によるもの。逆転勝利5試合は、J1の18チームのなかで最も多い。

札幌にとって課題、夏場の敵地。

 また札幌にとって、夏場のアウェーゲームは毎年苦しんでいる課題のひとつだ。筆者も札幌で暮らした経験があるが、この時期の札幌と本州とでは、尋常ではない気温差・湿度差がある。すぐに身体が対応し切れなくても無理はない。だが、今年はこの災害級の酷暑のなか、W杯による中断が明けてからのアウェーゲーム3試合を2勝1分と、無敗で乗り越えた。

「昨年のリアクションサッカーに較べれば、今年は自分たちでボールを握れている。夏場に握られるのはキツいので。今年は相手のほうが疲れているのかもしれない」

 ちなみに、昨年7~8月のアウェー戦は1分2敗だった。

 攻守一体のスポーツであるサッカーの場合、たとえば野球のように、まず守備力(投手力)を整備(補強)して、次に攻撃力(打撃力)を高めていこう……というワケにはいかない。守備に軸足を置いて勝ち点を稼いできたチームを前に進めようとしてみたら、攻守のどちらも機能しなくなってしまった。思い浮かぶ前例は少なくない。いまの札幌はそんな難題を克服しつつある。

【次ページ】 30歳を過ぎてゴールのツボが。

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