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札幌・都倉賢、32歳にして覚醒中。
「自分の取り扱い方が分かった」
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/08/30 11:15
空中戦の強さはJリーグでも随一。大器晩成を絵に描いたような都倉賢は、今やコンサドーレの旗頭だ。
30歳を過ぎてゴールのツボが。
都倉個人の決定率も向上している。昨シーズンは80本のシュートを撃って9得点。シュート約8.9本につき1点の割合だった。今シーズンはシュート63本で10得点。6.3本のシュートで1点をあげている。チーム力の高まりが、個の力をさらに引き出す理想的な循環がうかがえる(今シーズンの数値はいずれも24節終了時)。
「以前、取材にいらした福田正博(元浦和レッズ)さんから『30歳を過ぎてから、ゴールのツボが分かるようになる』と言われたことがあったんです。僕のJ2でのプレーぶりを見た上で、きっとそういうタイプじゃないかと思って言ってくれたみたいなんですけど。あのときの福田さんはこういうことを言っていたんだなと、いまあらためて実感しているところです。
自分のなかでツボを押さえながらプレーすることで、より合理的に点が獲れている気がします。もちろん、まだまだ詰めなくてはいけない部分はたくさんありますけど。年齢を重ねるごとに、より合理的に点を獲れるようになってきた気がします」
ゴン、大久保、寿人も30代で得点王。
神戸時代のチームメイトで、SNSを介した対戦前の「舌戦」が話題になるほど親交の深い大久保嘉人(ジュビロ磐田)が初めて得点王に輝いたのは、31歳のシーズンだった。そのほか中山雅史が初めて得点王になったのも31歳のとき。佐藤寿人(現・名古屋)が広島で、J1得点王に輝いたのも30歳のシーズンだった。いまの都倉で、遅いことはまったくない。
「J2を経験しながら、ゆっくりではありますけど、1シーズンを戦う術だとかを覚えて。去年しっかりJ1を経験して。そういうことのすべてが、今年につながっているのだと思うので。今後も成長していきたい」
その成長の先に、都倉賢と北海道コンサドーレ札幌の、新しいステージは広がっている。