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札幌・都倉賢、32歳にして覚醒中。
「自分の取り扱い方が分かった」
posted2018/08/30 11:15
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph by
J.LEAGUE
「遅れて売れたヤツは強い」
昭和30年代の華やかなりし映画や演芸の世界では、こんな言い方がされたそうだ。若くして売れるのは華やかだが、たとえ不遇な時代を過ごそうと、腐らず地道に実力を身に付けたなら、いざ花開いたときには、ちょっとやそっとのことで枯れやしない。そういったニュアンスなのだろう。
いまJリーグで、この表現がピタリと当てはまるのが、コンサドーレ札幌の都倉賢だ。
8月25日アウェー清水戦の74分、今年32歳になったストライカーは、利き足の左足で擦り上げるようにしてニアサイドを射抜き、逆転ゴールを決めてみせた。これが3試合連続となる今シーズンの10得点目。J1での2けた得点は、プロ生活14年目のキャリアで初めてのことだった。
「自分の壁を、ひとつずつ打ち壊していく。昨シーズンも2桁得点を目指していたけど、自分を超えることができなかった。それが今年は、まだシーズンの早い段階でこうして二桁得点できた。自分でも誇りに思えます」
クラブ最多得点記録に並んだ。
過去にJ1で2桁得点をあげた札幌の選手は、ウィル('01年、24得点)、ダヴィ('08年、16得点)、そして'17年のジェイ(10得点)の3人だけ。日本人選手では、当時まだ1部制で行われていた'98年のJリーグで吉原宏太が11得点をあげて以来、じつに20年ぶりとなるトップカテゴリーでの2桁得点だった。
また、これが都倉にとって札幌加入後、通算70得点目(J1計19得点、J2計46得点、カップ戦1得点、天皇杯4得点)。1997~98年に在籍したバルデスの持つ、クラブの通算最多得点記録に並ぶゴールでもあった。
セレッソ大阪、大宮アルディージャなどでもプレーしたパナマ人FWバルデスは、札幌のクラブ発足2年目にあたる97年の旧JFLにおいて、出場29試合40ゴールという驚愕の得点力で、Jリーグ昇格の立役者となった。そんなレジェンドと肩を並べ、クラブの歴史に名を刻んだのだ。
「素晴らしいことだと思いますし、これからも増やせる可能性のある数字なので。コンサドーレの歴史のひとつとして、ひとつひとつ積み重ねていきたい」