Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保U-21はサウジ戦で二兎を得た。
中2日で最高の内容、サブにも火が。
posted2018/08/28 17:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
二兎を追って二兎を得る――。
アジア大会準々決勝のサウジアラビア戦は、U-21日本代表と森保一監督にとってそんなゲームだったと言える。二兎とは、結果と成長のことだ。
難敵サウジアラビアを2-1で振り切り、当初の目標であるベスト4進出を決めたあと、森保監督はこんなふうに語った。
「試合に勝つという結果にこだわってやっていますけど、選手がちょっときつい状態でもプレーさせることも状況によって考えています。結果と個の成長、チームの成長という部分をいろいろと考えながら、選択していきたいと考えています」
きつい状態でもプレーさせる――それこそ、個人の、チームの成長のためだろう。
サウジアラビア戦はラウンド16のマレーシア戦から中2日のゲーム。そのため、メンバーを入れ替えることも予想されたが、蓋を開けてみれば、負傷したDF原輝綺(アルビレックス新潟)に代わってDF大南拓磨(ジュビロ磐田)が入っただけ。それ以外はマレーシア戦と同じメンバーだった。
疲れはあるけどやるしかないな。
「疲れはあります。けっこう来てます」とFW岩崎悠人(京都サンガ)は明かした。
「前日練習でもフレッシュな選手が勢いを持ってやってプレーしていたので、代わるかなと思ったんですけど代わらなくて、やるしかないなって」
疲労を抱える選手たちは、しかし、序盤からハイプレスを仕掛けたり、裏に飛び出したりと、指揮官の期待に応え、マレーシア戦で得た成功体験をさらに確かなものとするパフォーマンスを見せるのだ。
また、サウジアラビアのシステムは4-2-3-1ないし4-3-3であるのに対し、日本は3-4-2-1だから、ピッチのあらゆる箇所でミスマッチが起こる状態だった。加えて相手のセンターフォワードのムサ・カマラは身長が190センチ近くあり、スピードと強さとうまさを備えた強力なストライカーである。
その対策としてチャレンジ&カバーをはっきりさせるため、4バックに変更して2センターバックで対応することも考えられたが、指揮官はそうしなかった。それも選手の成長を考えてのことだろう。