野球善哉BACK NUMBER
甲子園決勝は本当に明日でいいのか。
金足農業・吉田輝星の投球数が……。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/08/20 18:30
吉田輝星が今大会最大のブレイク投手であることは間違いない。それだけに、末永く彼が野球を続ける姿が見たいのだ。
負けたら終わりでは、エースを下げづらい。
金足農を例にとると、三塁手の打川和輝が2番手の投手を務め、続くのは1年生投手だったが、甲子園を前に1年生投手は体調を崩し、ベンチ入りを断念せざるを得ない状況だという。3年生部員はたった10人しかいない。
そうなると、投手の負担を軽減する方法は、指導者の良識ある起用法か、日程しかない。
今大会の吉田は1試合140球を超す投球をしたケースが続いたが、試合展開上、継投が難しかったのも事実だろう。
地方大会から甲子園と、ずっと負けたら終わりのトーナメントを勝ち抜いてきたのだから「指揮官の良識」に訴えるのにも限界がある。
済美の山口直哉が星稜戦で184球を投げた試合は、大量失点していたこともあって交代させるべきだと思ったが、基本的に投手交代を決断するのは簡単ではない。
となると、考えるべきは日程しかないのだ。
「自分たちの戦ってきた形で挑みたい」
球数制限を導入できないなら、できることは試合の間隔を空けることしかない。
しかし、決勝戦は明日開催される。
明日の結果は分からない。しかし、勝敗がどちらに転ぼうとも、明らかなのは、金足農の吉田には多大なる負担がかかるということだ。大阪桐蔭にしても、吉田ほどではないにしろ全5試合に登板し、準決勝戦で完投した柿木蓮がおそらく連投するはずだ。彼にも負担はある。
「勝つために吉田を登板させたいということではないんです。自分たちの今まで戦ってきた形で勝負に挑みたい。その結果として吉田1人の登板になっているだけなんです。吉田が打たれてダメだと判断されたり、投げている姿がどうもおかしいとなれば、監督はすぐに交代させると思います」
金足農に帯同しているコーチの1人はそういっていた。
エース吉田で勝負に行って勝ってきた。その結果の登板過多というわけだ。