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ドラ1候補の社会人投手がまた1人。
メジャー直行という吉川峻平の決断。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byKyodo News

posted2018/08/19 17:30

ドラ1候補の社会人投手がまた1人。メジャー直行という吉川峻平の決断。<Number Web> photograph by Kyodo News

23歳でNPBに入ればFA権を得られるのは32歳。吉川峻平のメジャー直行という決断にも一理あるのだ。

吉川は数年計画でメジャーに上がってほしい。

 デビュー戦はメジャー屈指の「伝統の一戦」であるヤンキース戦だった。

 延長14回に8番手で救援登板して松井秀喜氏を中飛に打ち取ったものの、メジャー通算696本塁打のアレックス・ロドリゲスにサヨナラ本塁打を打たれて敗戦投手となった。それでも田澤は同月のタイガース戦でメジャー初先発のチャンスを掴み、5回4安打3失点(自責1)でメジャー初勝利を挙げるなど、渡米1年目から存在感を示した。

 23歳66日での先発勝利は今でも日本人メジャーリーガーの最年少記録である。

 吉川は前述のルールによりマイナー契約しかできないが、大谷や田澤のように招待選手としてメジャー・キャンプに参加する可能性はある。ドラマチックな展開を求めれば「開幕メジャー」を目指して欲しいところだが、焦ることはない。田澤のように開幕をAA級で迎えたとしても、活躍次第でメジャーに上がるチャンスはあるし、AA級で1年を過ごしても「23歳の新人選手」としては早いぐらいだ。

 たとえば噂になっているダイヤモンドバックスのマイナーAA級ジャクソンの投手陣の生年月日を見てみると、吉川より若い選手は全16人中2人しかいない(DL選手を除く)。その1階級下のハイA級ビサリアでも、全14投手中3人が吉川より若いだけ。「1年目からメジャーで活躍する」という気持ちは大事だが、そこはどっしり構えて取り組んで欲しい。

NPBが飛ばされることに抵抗もありそうだが。

 NPBのドラフトを回避してメジャー球団と契約する選手がいることに抵抗のある人々にとって、これは危惧すべき事態なのかも知れないが、日本のアマチュア選手たちにとっては選択肢が増えるという意味で良いことだと思う。

「いきなりメジャーに行って通用するわけない」などというのは、ワールドシリーズで活躍して優勝した田澤の成功で説得力に欠ける。アマチュア選手の成功例が少ないことで、それを「リスク」と言うのなら、日本のトップアマチュア選手がNPBで必ずしも成功するとは限らないし、それもまた「リスク」だろう。

 本当に危惧することがあるとすれば、それは一旦NPBに入団してしまえば、フリーエージェント権を取得して自分の意思で「メジャー挑戦」を含む自分の進路を決められるようになるまで9年もかかるということではないだろうか。

【次ページ】 ポスティング移籍は7年で3人だけ。

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