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ドラ1候補の社会人投手がまた1人。
メジャー直行という吉川峻平の決断。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byKyodo News
posted2018/08/19 17:30
23歳でNPBに入ればFA権を得られるのは32歳。吉川峻平のメジャー直行という決断にも一理あるのだ。
ポスティング移籍は7年で3人だけ。
カブスのダルビッシュ有投手やヤンキースの田中将大投手、そして大谷と25歳までに球団側から容認されてポスティング制度で「メジャー挑戦」を果たすケースもあるが、それもこの7年間でわずかに3人だけである。
「いつかはメジャーリーグでプレーしたい」と思っている日本のアマチュア選手たちが、そういう「選ばれた存在」になれるかどうかも分からないのに、NPBを選ぶことが「夢」への障壁になっている可能性はないだろうか。
かつて「田澤ルール」なるものを作ってアマチュア選手の海外流出に「圧力」をかけた人々が直視しなければならないのは、今の若者たちにとっては「メジャーリーグを目指す」ことが普通のことになりつつあるという事実だと思う。
16歳で「メジャー挑戦」を決意した結城海斗投手(ロイヤルズとマイナー契約)然り、23歳でNPBを経ないで「メジャー挑戦」を目指す吉川然り。
若者たちの意識はどんどん変わる。彼らを取り巻く状況もどんどん変わる。NPBのように古くて大きな組織が取り組まなくてはならないのは、彼らのような日本のアマチュア選手に対する「圧力」を強めることではなく、メジャーリーグで活躍する日本人を見て育った彼らが、本当に目指したくなるような魅力あるリーグを作ることではないだろうか――。