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大谷翔平がトレードされる可能性は?
メジャーでよくある大型移籍の話。
posted2018/08/07 11:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
エンゼルスの大谷翔平がトレードされる――。
いつか、そんな日が来るかも知れない。このままアストロズの黄金期が続き、マリナーズやアスレチックスが互角の勝負を展開し、エンゼルスだけが優勝の気配すら感じさせないシーズンを送り続ければ、あり得ない話ではない。メジャーリーグはそういう場所だ。
言わば「戦略的トレード」である。
もしもその時点で大谷の契約年数が残り1年以下で、それまで何年間も活躍しているのに契約延長が成立しておらず、オフに交渉すればとてつもない高額になる見込みだったとする。
しかも今夏のようにエンゼルスが優勝する見込みがない状況になって、そこに「大谷獲得」を狙ってトレードを持ちかけてきた球団がマイナー全体の「トップ10」に入るような「有望株」を何人も差し出してくる。そうなった時、エンゼルスはどんな決断をするのだろう。
トレードが否定的に捉えられる日本。
「ポスティングの入札金だけでも2000万ドルも支払ったのだから、そんなこと起こらない」
そうは思わない。ダルビッシュ有投手がメジャーに来た2012年、彼がいつかトレードされるなんてイメージできた人はいただろうか。
「契約が残り2カ月となる2017年の夏に他球団にトレードされる」と予想できた人がいただろうか。そう、レンジャーズはダルビッシュに入札金5170万3411ドル+6年5600万ドルを投資したにもかかわらず、「戦略的トレード」したのだ。大谷に同じことが起こっても何ら不思議じゃない。
日本のプロ野球チームやファンの方々にそれがあるとは言わないが、そういうことをイメージできない理由は、きっと「トレード」に対する「恐怖心」があるからだろう。「否定的な考え」といった方がいいかも知れない。
「トレード=戦力にならない選手の放出」と考えればとてもネガティブだが、トレードに関わった球団の双方にメリットがあるのが「戦略的トレード」だ。それは選手と球団の両方にとって未来につながる「肯定的=ポジティブ」なものである。