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大谷翔平に左投手の壁はある?
監督「彼の才能ならば間違いなく」
posted2018/08/04 11:30
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
今も昔も変わらない。野球には日米に限らず、古くから同じ概念が存在している。
「左対左の対戦は左投手有利」
あくまでも一般論に過ぎない。事実、メジャーリーグ歴代23位を誇る3089安打を放ったイチローは対左投手の方が成績が良い。
対右投手 7081打数2153安打 打率 .304
対左投手 2842打数 935安打 打率 .329
また、8月1日現在、ナ・リーグの打撃上位5傑は全員が左打者となっているが、その全員が左投手をまったく苦にしていない。
1.マーカキス(ブレーブス) 打率 .319 対右投手 .320、対左投手 .317
2.ディカーソン(パイレーツ)打率 .318 対右投手 .320、対左投手 .310
3.イエリチ(ブルワーズ) 打率 .316 対右投手 .305、対左投手 .346
4.フリーマン(ブレーブス) 打率 .316 対右投手 .303、対左投手 .341
5.ジェネット(レッズ) 打率 .313 対右投手 .321、対左投手 .293
レギュラーの座を張るとはこう言うことである。それでも野球界には『左対左』の定説が存在する。
ほとんど、いや、すべての監督が今も自軍のピンチで左打者を迎えれば、判で押したように左投手を救援起用する。データ全盛の時代にも関わらず、球界7不思議のひとつといつも感じる。20世紀や昭和の時代の方がよほど柔軟性はあった。
大谷翔平は左投手が苦手?
そして今、大谷翔平にはこの数字が並んでいる。
178打数46安打、打率 .258 対右投手 .296、対左投手 .170
マイク・ソーシア監督は、相手先発投手が左の場合は大谷をラインナップから外すことが多くなっている。数字をみれば致し方のない事実だが、その理由をこう説明した。
「OPS(長打率と出塁率を足し合わせた値)を見てみると右打者の場合、対右投手でも左でも差がないが、左打者は対右と左ではかなり差が出ている」
大谷のOPSは対右投手で.967、対左投手では.500。同僚で左打ちのカルフーンも、対右.718、対左.481だ。
言葉通り、右打者ではトラウトが対右1.082、対左1.087。シモンズが対右.790、対左.796。この原因をメジャー通算1624勝、勝率.537を誇る知将はサンプル数にあると言った。
「小さい頃からの野球環境も影響している。左投手自体が少なく左打者は右投手との対戦ばかりになる。高校や大学のレベルになってようやく左投手の球を見る機会が増えてくる。その上で右打者が左投手と対戦する場合は、ボールが外側から内側へ入ってくるが、左打者には遠くへ逃げて行くように映る。そういうことが関係しているのではないか」