サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
W杯直前まで両国共に最悪のはずが……。
日本「突破」、韓国「敗退」の理由。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byGetty Images
posted2018/06/30 11:00
主審の笛が吹かれた瞬間……前回王者ドイツのグループリーグ敗退が決まり、韓国代表は見事に“事故”(本文参照)を起こした。
シン監督は迷いに迷ってフォーメーション変更。
一点だけ、西野とシンの「変化へのスイッチの押し方」で差が出たとしたら、初戦スタート時のフォーメーションだ。
シンは迷いに迷ってか、そこまで使ってきた4-4-2と3-4-3を足して2で割ったかのような「4-3-3」を採用した。
中盤を一枚減らし、2トップの間に196センチの長身FWキム・シンウクを入れた。そこまでのテストマッチで採用したことのないやり方だった。何かのスイッチを押して直前ででも状況を好転させたい。そう考えたことが窺える策だったが完全に失敗だった。
一方の西野朗監督は初戦のシステムに関していえば、4-2-3-1は初採用だったものの、これは前任者の時代に近いものを使っていた。この点に関していえば、スイッチの押し間違いは犯さなかったのだ。
日本の「奇跡」と韓国の「事故」。
大会直前まで変化したほうが成績で上回る。
そういった法則はこれまで通りだった。
ただ両者ともに状況が悪いなか、「先を見る変化だったか」「正しく変化したか」が精査される。そんな新しい点が出てきた大会だった。正しく頑張るのは当たり前のことだが。
ドタバタの末、ギリギリで結果を出す。
日本の社会文化にはそぐわない点があるか。しっかり準備して本番に臨む。そちらのほうが好みか。
いっぽう、韓国の社会文化では大いに「アリ」なやりかただ。
実際に今回、戦前は苦戦が予想された状況でのメディアでの言葉の使い分けが興味深かった。
日本ではグループリーグ突破なら「サプライズ」「奇跡」といった表現が目立った。
韓国ではこう言ったものだ。
「事故を起こす」
厳しい組分けのなか、自分たちの意志でアクシデントを起こして勝ってやると。