ラグビーPRESSBACK NUMBER
強く激しくしなやかに、そして賢い。
ジャパンに立川理道が戻ってきた!
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byNobuhiko Otomo
posted2018/06/30 09:00
180cm、95kgの立川理道はラグビーのピッチでは小さく見える。しかしひとたび試合が始まれば、その存在感は極めて巨大だ。
あの南ア戦でも立川は12番だった。
そして、タックル回数も両チーム最多タイの12回。
「サンウルブズも含めてずっとやってきて、個々のタックル力も、チームとしてのディフェンスシステムの理解度も精度も上がっている。誰が試合に出てもすぐに機能するところまで向上しています」
それは、膝のケガでサンウルブズでも日本代表でもなかなか試合出場機会のなかった立川も含めたバックアップメンバーが、意識高く、精度高く練習を重ね、チームディフェンスを作り上げてきた証だ。
2015年ワールドカップで立川は南アフリカ戦とサモア戦に12番で、スコットランド戦には10番、アメリカ戦では13番、背番号を変えながら全試合に出場した。全試合に先発したのは堀江翔太、トンプソンルーク、リーチマイケル、マイケル・ブロードハースト、田中史朗、松島幸太朗、五郎丸歩、立川の8人。
そして立川は2016年の日本代表で堀江翔太とともに共同主将を務め、サンウルブズでもたびたびゲームキャプテンを務めた。名実ともに日本ラグビーのリーダーだが、2017年からはケガが続き、2018年のサンウルブズでは13戦までで出場5試合、日本代表ではイタリアとの2試合を欠場したあと、ジョージア戦が半年ぶりの出番だった。
判断と技術とフィジカルのすべて。
「試合前はプレッシャーもありました。それまで出ていた(ウィリアム・)トゥポウも中村亮土も良いプレーをしてたし、コーチングスタッフからも『CTBは競争率が高いぞ』と言われていたし。
ティモシー(ラファエレ)とは、一緒に試合をしていても、質の高いプレーをしていると感じた。でも、こういう状態で試合を続けていくことがワールドカップに向けて大事。誰も(レギュラーポジションが)確実じゃないところで、競争して向上していかなきゃいけない」
現在、日本代表が取り入れているアタックでは、12番が最初にSHからのパスを受ける形が多い。12番は相手防御が揃っているところに挑み、自分より良いポジションに味方がいればパスを送って走らせ、自分の前にスペースがあれば自ら走る。そして、そのどちらでもなければ自分が狭いスペースをこじあける。
タックルされても突き進み、「地面とファイトして」でも前に出ることで、次の局面での優位性を作る。立川はジョージア戦で、その12番を担うべきクレバーな判断力、コミュニケーション力と、精緻な技術、頑健なフィジカルを証明した。