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強く激しくしなやかに、そして賢い。
ジャパンに立川理道が戻ってきた!

posted2018/06/30 09:00

 
強く激しくしなやかに、そして賢い。ジャパンに立川理道が戻ってきた!<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

180cm、95kgの立川理道はラグビーのピッチでは小さく見える。しかしひとたび試合が始まれば、その存在感は極めて巨大だ。

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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Nobuhiko Otomo

 やっぱり、ジャパンに必要な男だ。

 6月23日、雨の豊田スタジアムで行われた日本代表の今春最終戦・ジョージア戦で奮戦する背番号12を見て、改めてそう思った。

 立川理道。

 ジョージア戦は、昨年11月のフランス戦以来半年ぶりの日本代表ジャージーだった。テストマッチ出場回数を示すキャップ数は55にのぼる。

 ラグビーにおける背番号12は、いわば攻守の最前線に立つポジションだ。互いにトップスピードで走り、抜きあい、止めあう。

 2m級の巨漢が激しくぶつかりあうFW戦は多くの場合、静止した状態から加速しながらの抜きあい、ぶつかり合いだが、バックスの勝負は助走をつけ、スピードにのった状態でパスを受け、抜きあい、ぶつかりあう。

 しかも国際ラグビーの世界ではサイズもFWと大きな差はない。190cm110kg級のガッチリした、しかもスピードを持つランナーが切った張ったを繰り返す、情け容赦のない戦場だ。

「地面とファイトしながら前に」

 ジョージア戦の立川は、まさにその戦場で求められる仕事を全うした。ラグビー情報サイト「Scrum.com」のスタッツでは、ボールを持ってのラン回数は両チーム最多の17回に達した。そしてランメーターは65m。これはWTBレメキの79m、No8マフィの76mに次ぐ3位の数字だ。

 日本代表のアタックの看板となるBK、FW、それぞれの外国出身パワフルランナーにはいい条件でボールが託されることが多いが、立川がボールを持つのはアタックの起点だ。狭いスペースをこじあけて前進する。ディフェンス理論とスカウティングが発達した現代ラグビーでは、クリーンブレイクはほとんど生まれない。

 だが、そんな状況でこそ、立川は生きる。ジョージア戦のあと、立川は心地よさそうに汗をぬぐって言った。

「FWとBKのつなぎ目のところで、FWと同じくらいのキャリーをしたと思います。相手の嫌なところを突いて、狭いところをパスとフットワークを使って、地面とファイトしながら前に出られた。自分の良さを出せた試合だった」

【次ページ】 あの南ア戦でも立川は12番だった。

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立川理道

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