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ガーナ戦に収穫を求めるとすれば。
守備面では2トップに可能性あり。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/05/31 11:50
後半途中から出場した武藤嘉紀。岡崎慎司とともに、守備のスイッチを入れる役割はこなせるのではないか。
最前線から相手をハメる方法論。
その意味で、後半途中から採用した2トップは興味深い。
ガーナ戦においては、追いかける展開で採用されたシステムである。武藤嘉紀と岡崎慎司の2トップに求められるのは、追撃弾であり同点弾だったはずだ。
ただ、最前線から相手をハメていく方法論として、2トップは有効な選択肢になり得る。西野監督が目ざす組織力を生かしたサッカーの枠組みから、はみ出すこともない。
4-2-3-1でも、4-4-2と同じようなプレッシャーのかけかたは可能だ。相手ボールの局面でトップ下が1トップのラインまでポジションを上げれば、4-4-2の形を作り出せる。
振り返れば4月の就任記者会見で、西野監督はこう語っている。
「ゲームにはオフェンシブな時間、ディフェンシブな時間があるなかで、つねに勝機を求めていく。こういうふうに戦えば勝機はあるというものを考えていきたい」
格下であるという前提に立って勝機を。
対戦相手との力関係を考えれば、W杯では「ディフェンシブな時間」が長くなるのは避けられない。その前提に立って勝機を探っていくと、戦術的な柔軟性は必要不可欠なキーワードになってくる。5月18日の記者会見で、指揮官も「W杯では柔軟に対応する戦術や戦略が必要だ。たくさんオプションを考えて、選手に伝えていきたい」と話していた。
23人の登録メンバーがどのような顔ぶれになっても、日本はグループ内で格下の立場だ。W杯の出場権を逃したガーナにホームで零封されたチームが、コロンビアやセネガル、ポーランドと撃ち合って勝てるとは考えにくい。
他でもない西野監督が「攻撃的な志向を求めていきたいが、それだけではない」と語るように、堅守をベースとした戦略の構築こそが、残り19日でのテーマとなる。