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ガーナ戦に収穫を求めるとすれば。
守備面では2トップに可能性あり。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/05/31 11:50
後半途中から出場した武藤嘉紀。岡崎慎司とともに、守備のスイッチを入れる役割はこなせるのではないか。
3-4-2-1の懸念はプレッシャーのかけ方。
8分に喫した先制点は、ペナルティエリア手前からの直接FKを叩き込まれたものだった。ファウルにつながった槙野智章の対応、さらにはFKが壁の間を抜かれたことへの不満は残るものの、守備のオーガナイズがひどく乱れたわけではない。
51分の2失点目も、同じ文脈で語れる。最終ラインの背後を狙った縦パスをクリアしきれず、川島永嗣の飛び出しもタイミングが中途半端だったが、お互いの責任範囲をはっきりさせれば再発は防げる。そのためのトレーニングとコミュニケーションの時間は、残り19日のなかでも確保できるはずだ。
3-4-2-1で気になることがあるとすれば、相手ボールへのプレッシャーのかけ方だろう。大迫勇也を最前線中央に置き、2シャドーの左に宇佐美貴史、右に本田圭佑を配した3-4-2-1は、相手ボールの局面では5-4-1に近くなる。
左ウイングバックの長友佑都、右ウイングバックの原口元気が最終ラインと横並びになり、宇佐美と本田はダブルボランチの山口蛍、大島僚太と同じラインまで帰陣する。マイボールを動かしている相手DFラインへのプレッシャーは、基本的に大迫の左右へのスライドに委ねられる。
もちろん、大迫ひとりではカバーしきれない局面は出てくる。ガーナ戦でも2シャドーのどちらかが大迫と同じラインでプレッシャーをかけたり、ダブルボランチのひとりがボールに食いついたりするシーンがあった。
ボールを放り込まれてしまうと……。
ここで、ガーナはどうしたか。プレッシャーを受けたCBは、ワンタッチで3トップの両サイドへボールを蹴り出していった。正確無比なフィードではない。それでも、身体能力の高いガーナの選手たちは、多少なりともアバウトなフィードをパスにしてしまうのである。
3バックなり5バックで自陣にブロックを敷いたとしても、DFラインにプレッシャーを掛けられなければボールを放り込まれ、五分五分の競り合いを強いられる。そして、どちらのものでもないボールを支配下に置ける選手が、コロンビアにも、セネガルにも、ポーランドにもいる。
そう考えると、オプションとしての3バックの精度を高めることと同時に、前線からより効果的にプレッシャーをかけられるシステムにも着目すべきである。