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「2番に送りバント」は安易すぎ?
西武源田と日本ハム大田は強攻型。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/05/30 10:30
大田泰示は2番ながら交流戦開幕時点で10本塁打を放っている。打順に多様性があるから、野球も面白くなる。
「攻撃的にいって、いい循環を」
西川は2014年に2番を務めたが、続く3番・陽岱鋼は25本塁打を放った。西川はその年、盗塁王を獲得しているが、陽の打撃をアシストしたことで、自らが塁に出る意味を実感している。
また、大田は2番での起用をこう捉えている。
「自分の持ち味を出す。なおかつ(西川)遥輝が出塁すれば、長打で1点取るとか、ランナー二、三塁でクリーンアップに回せるように攻撃的にいければと思っています。それができれば相手投手の気を使う部分が多くなるし、もし変化球が多くなれば、今度は遥輝が走りやすくなる。いい循環が生まれると思います」
送りバントが成功すれば走者は二塁へと進むが、アウトカウントを1つ相手に与えるとも考えられる。大田は「なるべく遥輝を殺さないこと」と、三振もよしとして長打を狙いに行く。これが積極的な攻撃として機能している。
1、2番だけで攻撃がすべて決まるわけではない。ただ、栗山監督が話しているように、すべての選手が本調子ではないことを踏まえ、どう得点を奪うかは戦い方次第で補えるものだ。
犠打と強攻策、有効性はそれぞれ。
もっとも、犠打も勝利を収めるための有効な戦略だ。
ソフトバンクは毎年、犠打数が多く、首位争いを演じている。それはチームの戦力事情に最適化したものと言える。例えば2017年のソフトバンクはもちろん、2016年の日本ハムは投手陣が充実していた。
ゲームを作れる先発陣がいて、中継ぎとクローザーが盤石だった。1点を確実に積み重ねていけば、おのずと勝利に近づけた。だからこそ送りバントを有効活用した。
しかし、今季の西武と日本ハムは前述したウィークポイントがある。だからこそ、そこをカバーするための戦い方を選択している。その象徴が走者一塁におけるアグレッシブな攻撃なのだ。
送りバント以外の選択肢―――。
パ・リーグの上位2チームが、この攻撃的戦術を駆使しているのは間違いない。