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ロサリオには代役も降格もいらない!
藪恵壹が見たタイガース助っ人問題。
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2018/05/25 08:00
メジャーではシーズン28本塁打を記録するなど5年間で71本塁打。昨年まで所属した韓国ハンファでは2年間で70本塁打を記録した。
「特徴」を引き出すのが重要では。
またロサリオは、打った瞬間に右足を引くというクセがよく欠点として指摘されますが、例えば、メジャーリーグのミゲル・カブレラだって、ホセ・アルトゥーベだってそうです。首位打者を獲る前に、アルトゥーベはカブレラのその動きを参考にして取り入れたということですから。ロサリオも来日当初は右中間へのいい当たりを飛ばしていましたが、それはあの動きに関係があると思います。
つまり「欠点」を修正するのではなく、「特徴」を引き出すようにする方が重要ではないか、ということです。もちろん、結果が出なければ勝敗に直結してしまうので、首脳陣がいろいろ考えるのは当然だと思います。ただ、打順を落としたり、スタメンから外したりするということはやってはいけないのかな、と思います。
現状、誰かロサリオの代わりを見つけるより、ロサリオを気持ち良くプレーさせて、今までの自分のバッティングができるようになるまで我慢する方が近道でしょう。
鳥谷だって絶対に外してはダメ。
これはロサリオだけではなく、他の選手にも言えることで、鳥谷だって外しては絶対にダメな選手の1人だと思います。あれだけ怪我をせずに、ずっとやってくれる選手というのはどれだけチームや首脳陣を助けてくれるか。長い目で見れば、それはすごく重要なことだと思うんです。
ずっと試合に出続けてきた選手だけに、1試合に1打席ではなかなか本来の力を発揮できないのかもしれません。そういうことを考えれば、不振を理由に処遇を検討するよりも、鳥谷が早くリズムをつかめるよう、考える方がいいのではないでしょうか。
プロの世界ですから、競争は絶対に必要だと思います。ただ、結果が出ない。外す。二軍に落とす。これを繰り返していると、そのうち自信を失って、どんどん選手が“死んで”しまうということにもなりかねません。
1年間をトータルで考えて、成績を残せる選手というのはプロの世界でもそんなにたくさんいるものではありません。だからこそ、そういうことができる選手、今までその実績をつくってきた選手には、気持ち良くプレーできる環境を与えることこそが最善策なのでは。それは首脳陣にとっては我慢や忍耐が必要なことなのかもしれませんが。