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なぜ、球団は育てた選手を手放すか。
その裏にある痛みと愛情と哲学とは。

posted2018/05/25 11:00

 
なぜ、球団は育てた選手を手放すか。その裏にある痛みと愛情と哲学とは。<Number Web> photograph by Kyodo News

大谷翔平、ダルビッシュ有……彼らが抜けても力を保っているのが日本ハムの底力だ。

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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 妄想してみると、ちょっとしたドリームチームが完成していた。セ・リーグとの交流戦開幕を控えた最近のことである。

 5月の福岡遠征。前職、スポーツ紙の記者時代の大先輩と雑談をする機会があった。

「みんな残っていたら、とんでもなく強かったやろうな」

 指を折って数え、お互いに名前を挙げていった。

 アメリカへ目を向ければ、ダルビッシュ有投手と大谷翔平投手はメジャーリーガーで、それぞれのチームでエース格である。

 国内他球団であれば阪神タイガース糸井嘉男外野手、オリックス・バファローズ小谷野栄一内野手、増井浩俊投手、中日ドラゴンズ大野奨太捕手は現在、主力級で各チームの屋台骨を担っている。

各球団に在籍する日本ハム「OB」。

 読売ジャイアンツ吉川光夫投手は今シーズン、先発ローテーションの一角をつかんだ。チームメートの陽岱鋼外野手は故障から復帰間近だが、そのアクシデントさえなければ開幕からレギュラーが濃厚だった。

 福岡ソフトバンクホークスの名バイプレーヤー川島慶三内野手も、チームには欠かせない存在になっている。東京ヤクルトスワローズ鵜久森淳志外野手、読売ジャイアンツ石川慎吾外野手も一軍で活躍する出場機会を、うかがえる位置にいるとみている。

 野球ファンの方なら、全員の共通点をすぐに認知できる方もいるだろう。この羅列した固有名詞は、すべて現役選手で北海道日本ハムファイターズの「OB」である。

 手前味噌ではあるが、一定のステージにいる面々だと思う。今シーズンで北海道に本拠地を移して15年目になるが、すべてその間に在籍し、移籍していったメンバーである。

【次ページ】 世代交代については「否」が多数。

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