Overseas ReportBACK NUMBER
米国から見た日大アメフト部問題。
NFLでは告発者にセカンドチャンスが!
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byKyodo News
posted2018/05/24 14:30
選手が記者会見を開いた翌日、急遽、監督・コーチ側の会見が。内田正人前監督、井上奨コーチの悪質反則指示は改めて否定された。
実は……1990年代から蔓延する問題。
上記のボーナス制度は1990年代から行われており、米国、そしてカナダの複数のアメフトチームでこの制度があったことが判明している。
ちなみにセインツは、2009年シーズンのNFCチャンピオンシップでミネソタ・バイキングスのブレット・ファーブを怪我で退場させた選手には3万5000ドルものボーナスを与えているが、後にファーブも自チームにも同様の制度があったと告白している。
また元ニューイングランド・ペイトリオッツのブランドン・メリウェザーも「NFLでは『ボーナス制度』は一般的なこと」と話している。
彼らの言葉から分かるように、残念ながらNFLではこのボーナス制度は常態化しているのかもしれない。
メリウェザーは所属チームでその制度があったかどうかには言及していないが、相手選手に執拗にタックルする「卑怯な選手」として、多くのファンの記憶に残っている1人でもある。
NFLは自浄努力する試みを開始。
NFLは昨年、セインツのバウンティ・ゲート事件でボーナス制度についてNFLの調査に協力したマイク・セルーロをNFL事務局のスタッフとして雇用した。
セインツのアシスタントコーチだったセルーロは、問題が発覚する前にチームを解雇されている。解雇理由が不透明だったことで怒りを感じたセルーロはその後、NFLにボーナス制度を告発。調査に協力し、詳細を明らかにしている。
「真実を言えばもうコーチの道はないかもしれない……しかし、自分はフットボールを愛しているし、もう一度NFLでコーチとして働きたいと思っている」
セルーロは当時、告発の理由をこうNFLコミッショナーに説明している。
セインツを解雇された後のセルーロは、大学で働くことにし、NFLからは離れていたという。今回のNFL事務局への雇用は、コーチではなく事務局スタッフとしての採用ではあるが、セルーロは今後、NFL各チームの規律問題などにかかわることになっており、戦々恐々としているコーチ陣や選手は多いかもしれない。