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伊藤達哉、初の独占インタビュー。
Jを経ず欧州移籍した20歳ドリブラー。
posted2018/05/12 11:30
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Sports Graphic Number
今季、残留争いに苦しむハンブルガーSVに現れた新星は日本人だった。
チームを救う救世主とまではいかないものの、その20歳の登場にスタジアムは沸き、地元紙は日本代表にぜひ、と書き立てる。163cmの小柄な攻撃的MFは、スピード溢れる小気味良いドリブルで相手の守備を切り裂き、フレッシュな存在感でハンブルクのオールドファンたちをも釘付けにした。
彼の名は、伊藤達哉。2015年夏に3年契約でハンブルクにやって来た。1年目をU-19チームで、2年目はツヴァイテ(二軍)に所属しレギオナルリーガで過ごし、そして3年目の今季、シーズン半ばでトップに昇格。
第33節終了時点で19試合に出場、そのうち11試合に先発し、実力で契約延長も勝ち取った。その伊藤が、初めて日本メディアの単独インタビューに応じた。力強く、そして素直な言葉で、自身について語ってくれた。
――今季はトップでの試合に少しでも出られれば、というスタートだったそうですね(第27節以降はスタメンを勝ち取った)。
「そうですね、今シーズンはもともとツヴァイテでスタートしたので、シーズン中に1分でもトップチームで試合に出られたら今シーズンは成功、と自分の中で合格ラインみたいに設定はしてあって。それで今季が終わって、オランダなり、オーストリアなり、ヨーロッパのどこか1部で拾ってもらえるクラブ、もしくは国があればという風になんとなく思っていました」
――ところが実際には'17年末に契約を延長しました。
「もちろん試合に出られるんだったらここで出たいんで。ブンデスは他の国に比べてもレベルは高いと思いますし。(試合に出られて)状況が一気に変わったので、契約は延長しました」
――想定外でした?
「想定外でした。はい。けが人が続出したこともあって、たまたまちょっとトップで練習するチャンスがきて、当時のギスドル監督に認めてもらえて、デビュー戦である程度監督に評価してもらえて……って感じで(第6節、レバークーゼン戦に82分から初出場。その試合は敗れたものの、続く2試合では先発した)」
――わくわくした1年だったのでは。
「そうですね。シーズンが始まる前は、今自分がこういう立場になってるってことは考えてもいなかったので。良い意味で自分の期待を裏切れたなと」