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バルサの指導者研修に日本人が参加!
楽天の仲介で実現した史上初の事件。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byVISSEL KOBE
posted2018/05/15 11:00
カンプノウで多くのものを吸収して帰ってきた林健太郎、平野孝。楽天のスポンサー契約の効果が早くも登場した。
ボールを持っての判断が子供でも的確。
実際の練習では、選手の判断と自主性が重視されていた。
「ボールを持ったときに、パスなのか、ドリブルなのか、シュートなのか。状況から把握・判断・実行する。バルサの子供たちはそれが的確。さらに言えば、ドリブルならどんなドリブルがいいかが細分化されている。その技術をどういうタイミングで使うかを、子供が自ら学ぶ環境をつくっている印象を受けました」(平野)
「メニューでルールを加えるなら、守備側に制限をつける。攻撃側はウォーミングアップ以外、基本的にフリータッチ。なぜならボールを持っている側は、試合と同じ状況で判断できるようにするため。タッチ数に制限がないから、スペースが空いたら、どんどんドリブルをする。彼らはパスサッカーというイメージではなく、しっかりそこにドリブルの要素も入っているんですよ」(林)
DFのピケがボールを持ったとき、目の前にスペースがあると、迷うことなくドリブルで進み、相手が近づいて来たらフリーになった味方にパスを出す――というのは、バルサの試合でよく見るシーンだ。
「アカデミーでは、それを小学生がやる。アカデミーのコーチが『イニエスタは1人が来てもまだパスを出さず、2人目が来てからパスを出すのが桁違いにうまい』と言っていました。スペースの使い方が体に染み付いているんだと思います」(林)
あえて荒削りな子も練習に混ぜる。
よりピッチを俯瞰した視点で見ると、発掘してくるタレントのタイプに興味深い点があった。バルサは4-3-3の布陣をベースにし、各ポジションに背番号を割り振っていることは有名だ。そういうシステマティックな枠組の中に、あえて荒削りな子も入れていることに林は気づいた。
「どの年代を見ても、荒削りで身体能力が高い子供をあえて入れているんですよ。そういう選手に考え方やプレーの仕方を教える。現時点ではその荒削りな子より日本の子供の方がうまいと思いましたが、大人になったときに差が出てくるのだと思います」(林)