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バルサの指導者研修に日本人が参加!
楽天の仲介で実現した史上初の事件。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byVISSEL KOBE
posted2018/05/15 11:00
カンプノウで多くのものを吸収して帰ってきた林健太郎、平野孝。楽天のスポンサー契約の効果が早くも登場した。
学業、人間的成長を支える「マシア360°」。
当然ながら、バルサのアカデミーではピッチ外のサポートが手厚い。平野が興味を持ったのは、「マシア360°」というプロジェクトだ。
「バルサは学業との両立にこだわっていて、一作年『マシア360°』というプロジェクトを立ち上げた。寮のまわりにある、家族、学業、人間教育をすべてサポートするというもの。素晴らしいなと。寮では毎日のように補習が行われていました」(平野)
2週間の講義中、他の受講者は夕方5時に帰宅していたが、林と平野は特別にアカデミーの練習見学を許された。アカデミーは基本的に保護者も見学できないが、これも楽天の橋渡しのおかげだ。
研修プログラム終了後、さらに2人は2週間滞在し、毎日、各部門の担当者に通訳を介してヒアリングを行った。集中講義のあとに、家庭教師に教えてもらう感じだ。
ただ、わずか1カ月でバルサをわかったと言えるほど甘くないことを、当然2人は自覚している。
林はトップチームのアシスタントコーチとして、平野はアカデミー部部長兼スカウト部部長として、今回の経験を生かし、ヴィッセル独自のサッカースタイルを確立することに挑戦していく。
バルサ化の先にあるヴィッセル化へ。
「アツがヴィッセルに入り、僕たちも加わり、神戸のスタイルを築く試みが始まった。バルサから真似できるところは真似して、盗むところは盗む。でも完コピはできない。どうやって色を出して行くか。特にアカデミーについては、1つ1つ触りながら、確認しながらやっていく必要がある。
バルサは言葉を大事にしていた。ちょっとした言葉のニュアンスで、100人が違う解釈を持つ可能性がある。共通した考え方で、同じ方向へ進むために、丁寧にやっていきたいと思います」(平野)
「クラブの意図としては、学んできたことを僕がトップチームに、平野がアカデミーに伝えてほしいというのがある。今年からスタイルを変えようとしている中で、僕がバルサで見て学んで来たエッセンスをトップチームに加えるのが役割だと思います。そんなに大きく変わるわけじゃないですが、監督をサポートしながら伝えていきたい」(林)
元チームメイトの3人が神戸の人たちと力を合わせ、ともにバルサ化の先にあるヴィッセル化に向かって進み始めた。