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記念グッズ完売の伝説的“良い人”。
ロッテ福浦和也の2000本はいつ?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/05/10 17:00
地元の習志野高からドラフト7位で投手として'94年に入団した福浦(左)は、通算2000本安打まであと25本と迫っている(5月8日時点)。
ロッテで、上下関係のゆるさに驚いた。
2人が出会ったのは2008年の春季キャンプのことだ。望月はそのときをこう振り返る。
「私がロッテに来たのが11年前なんですけど、監督だったボビー(・バレンタイン)に呼ばれて、石垣に行ったんです。当時、私は二軍担当だったんですけど、最初に体を診たのが福浦だったんです」
望月は選手時代に10年、トレーナーとして5年、広島に籍をおいていた。しかし当時の広島は上下関係も厳しく、ベテランの選手になると裏方が迂闊に声をかけられない空気もあったのだという。それがロッテに来て、福浦と接して、考えが少し変わった。軽いカルチャーショックを受けたとも言う。
「あのクラスの選手になると迂闊に話しかけられない空気とか普通はあると思うんですけど、(福浦は)友達感覚でみんなと話したり、そういう雰囲気を自分で作ってくれる選手なので、すぐに打ち解けられたというのはありました。
それは元々の彼の性格なんでしょうけど、若い選手ともフランクに話しますし、相談しやすい性格でもあるので、かと言って、周りにペコペコしているわけでもないですし、いつも自然体。だからチーム内は勿論ですけど他チームを含めて、彼を悪く言う人はいないんじゃないかって思います」
「俺達の福浦」という言葉には理由がある。
そうした柔らかい人当りの良さは、取材をしている我々でも感じることがある。
たとえば、試合と直接関係のない話を彼に振ったとしよう。すると彼は「ぜんぜん、ぜんぜん、だいじょうぶですよ」と言って、温かくこちらを受け入れてくれる。だから、こちら側としても気軽に声をかけやすい。
当然、野球の取材、知識についてもこちら側に伝わるようにしっかり丁寧に応えてくれる。応援歌の歌詞でも使われる「俺達の福浦」という言葉は、彼と接した多くの者達がきっと感じていることだろう。
望月もさらにこう言葉を続ける。
「一緒にいて疲れることがないですし、凄く緊迫した雰囲気になることもない。さすがに彼が集中して練習するときはこっちも緊張したりしますけど、かと言って周りの人間が委縮したり臆したりすることもない。2000本安打や大きな記録が近くなると選手は独特の雰囲気が出て、近寄り難い雰囲気とかあると思うんですけど、彼にはそうしたところが一切ない。そこが彼の魅力でもあると思うんですよね」