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記念グッズ完売の伝説的“良い人”。
ロッテ福浦和也の2000本はいつ?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/05/10 17:00
地元の習志野高からドラフト7位で投手として'94年に入団した福浦(左)は、通算2000本安打まであと25本と迫っている(5月8日時点)。
松井稼頭央と話したベテランの辛さ。
福浦は、この練習法に限らず数種類のティー打撃を普段から使い分けている。そのときの自分の調子、課題と向き合って内容もその都度変えているようだ。
「若い頃はただガムシャラに打って、練習をして、本当に色々なことを教わったりもしましたけど、自分がこうして試合に出るようになって、いろんな選手の話も聞くようになって、当然、考え方も変わっていきました。
ただそれはそれで厄介というか、昔みたいに何も考えずにガムシャラにやっていた方が良かったねって、(同級生の)松井稼頭央くんと話したこともあるんですけど、いろんな情報が入ってくると、どうしてもいらないことまで考えたりもするじゃないですか。そういうこともあるので……。
だから今は、本当にシンプルに野球をやっている、そんな感じなんです」
「これだけ自分を追いこめるのも才能」
今年で25年目を迎えた大ベテランは、四半世紀に及ぶ自身の野球人生をそう振り返った。
今季(2018年)は5年ぶりの開幕スタメン出場も果たした。記録達成まであと38本でスタートした2000本安打も、開幕から順調に本数を積み重ね5月8日現在、残り25本まで迫っている。このペースで行けば来月中にも記録達成の瞬間が見られそうだ。
「結果として、そこにたどり着けたらいいですけど、ヒットを狙いだして、フォアボールを選べなくなったら、自分では終わりだと思っているので、まずはしっかり試合に入る準備をして、怪我をしないように、そこも毎日の積み重ねですよね」
と、周囲の声に惑わされることなく、まずは記録よりもチームの勝利を優先する。
練習時の集中力は並み外れているとチームトレーナーの望月も話す。
「たとえばスイングを1時間とか続けてするんですけど、彼は最初から最後まで全てフルスイングなんですよね。終わった後はさすがにガクッとか来たりしますけど、練習時はそうした姿を全く見せない。そういう体力と集中力はさすがに凄いと感じますね」
ただし、1時間もフルスイングを続けた体の代償も当然ある。望月はさらにこう続ける。
「打撃練習をしただけで臀部や脹脛にウエイトトレーニングをしたくらいの張りが出るときもあるんです。それくらい一振り、一振りを全力で彼は振っている。練習でこれだけ自分を追いこめるのも、やっぱり才能かなって私は思うんですよね」
年は望月の方が7つ年上だが、野球人としての敬意を込めてそう話す。福浦もそんな望月を心から信頼している。