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復刻ユニで68年間の東芝時代に幕。
Bリーグ川崎がCS制覇に挑む!
posted2018/05/04 09:00
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph by
Kiichi Matsumoto
4月28日、快晴の土曜日。
川崎ブレイブサンダースはこの日、他チームより少し早めのホーム最終日を迎えた。本拠地のとどろきアリーナに集まった観客は、4456名。プロリーグのBリーグが発足して2年目。総計入場者数は9万1792名にのぼり、1試合平均にすると約3060名となる。
3年前、川崎は東芝を母体に持つ実業団チームとして、NBLというプロアマ混合リーグに所属していた。
東芝のホームゲームには、驚くほど観客がいなかった。正確な数字は不明だが(データベースが掲載されていたNBLの関連サイトはすでに閉鎖されている)、平均で1000人に届くかどうかだっただろう。金曜日開催のゲームは500名前後ということも当たり前だった。
少なかった入場者数がプロ化で一転。
キャプテンの篠山竜青は以前、東芝時代のホームゲームについて、こんなふうに話していた。
「試合前のセレモニーで、観客にサインボールを投げるのも嫌でした。コントロールがよくないと、誰もいないところに転がっていってしまうので。暗転とかの演出も『恥ずかしいからいいよ』という感じでしたし」
実業団の存在意義は、あくまで社員の福利厚生であり士気高揚。観客動員は二の次という大義名分は確かにあったが、それでも日立(現在のサンロッカーズ渋谷)、トヨタ自動車(現在のアルバルク東京)、アイシン(現在のシーホース三河)、三菱電機(現在の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)といった他の実業団チームと比べても入場者数は明らかに少なかった。
そんなクラブが、プロ化からわずか2年で彼らを上回る観客を呼び、プロとしてのキャリアが長いクラブと肩を並べるようになった。その立役者は、プロスポーツ経営の素人である東芝の社員たちだった。