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復刻ユニで68年間の東芝時代に幕。
Bリーグ川崎がCS制覇に挑む!
 

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青木美帆

青木美帆Miho Awokie

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2018/05/04 09:00

復刻ユニで68年間の東芝時代に幕。Bリーグ川崎がCS制覇に挑む!<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

クラブ初の2冠を達成した1999-2000シーズンの復刻ユニフォームを着て、リーグ戦ホーム最終節を連勝で飾った。

4人で作り上げたプロクラブの基盤。

 川崎のクラブ代表である荒木雅己は、中央大学卒業後に東芝に入社し、同社野球部で活躍した人物だ。

 事業所の総務部長、バスケ部、野球部、ラグビー部を統括するスポーツ推進室室長を経て、2016年4月より クラブを運営するTBLSサービスの代表取締役社長に就任。9月の開幕までの5カ月足らずで、共に戦える仲間を社内から呼び寄せ、スポンサーや観客を集め、プロクラブ運営の基盤を作り上げた。

 荒木が招集した4人の立ち上げメンバーは、東芝の運動部に所属していたという共通点はあれど、プロクラブでの勤務経験はない。土日もなく膝を突き合わせ、「もうあきらめよう」という言葉が出るほど苦しい時期もあったが、途中から新規採用された専門スタッフたちの力を借りて、なんとか開幕までこぎつけた。

 素人たちが実直かつ粘り強く耕した土壌に、新しいスタッフが種を蒔き、とどろきアリーナはチームカラーの臙脂が満開になるようになったのだ。

「けなげな頑張りが川崎の良さ」

 荒木は以前、こんなことを話していた。

「リーグ開幕当初、ファンの方から『けなげな頑張りが川崎のスタッフの良さ』と言われたことがあるんですよ」

 ホーム最終戦、荒木は二階入口から入場する観客の出迎えに立っていた。華やかな笑顔のチアリーダー、コミカルな動きを見せるお笑い芸人に続いて、長身を少し窮屈そうに丸め、ごくごく控えめな会釈を繰り返す荒木。その姿に、同じけなげさを見た。

 昨年12月、川崎ブレイブサンダースが2018-2019シーズンより東芝からDeNAに承継されるというリリースが発表された。ホーム最終節の京都ハンナリーズ戦は、言い換えれば現運営スタッフと東芝が関わる最後のホームゲームでもあった。

 会場の1階入口付近には歴代のユニフォームや写真が飾られ、たくさんの人々がひっきりなしに訪れていた。ヘッドコーチの北卓也の現役時代を見つけ、「監督だ!」と驚く子どもたち。色あせたユニフォームや白黒写真の前で懐かしそうに笑う、ひと際背の高いご老人たち。選手たちは復刻ユニフォームに袖を通し、チアリーダーもそれぞれが歴代のユニフォームをまとった。

【次ページ】 拍手のあとに「東芝コール」。

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