話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
名古屋ブラジル3人衆が語る問題点。
「守備はもうちょっとシンプルに」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/05/02 08:00
風間八宏監督は、Jで最もスタイルにこだわりのある監督の1人だ。目の前の結果と長期計画、そのバランスが今問われている。
「守備はもうちょっとシンプルに」
守備についても同じことが言える。
最終ラインからのビルドアップがつながらない時や、相手が前から激しく来た場合は、裏に蹴ってもいいはずだ。何がなんでもつなごうとするからミスが出る。永井謙佑に決められた2点目も、DFの裏に出されたボールをGKが大きくクリアしていれば何の問題もなかったが、中途半端につなごうとして相手に奪われ、失点した。
この試合で一番ファイトしていたホーシャは言う。
「守備はもうちょっとシンプルにやらないといけないと思います。そこでミスってしまうと失点につながるので、簡単にやれるところは簡単にやる。負けが続けいている中でそこを修正すれば失点も少なくなるし、勝つことができると思います」
判断を間違えるなということだが、最終ラインは17歳の菅原由勢とセンターバックを組むことが多く、右サイドバックの宮原和也も22歳と若い。
総失点が23点、1試合3失点が6試合もあれば気持ちを切り替えようとしても引きずってしまうだろうし、気持ちが整わないでプレーすれば判断に迷いが生じて1歩が遅れてしまう。そうした判断の遅れの積み重ねが連鎖すると失点につながり、さらに自信を失うという悪循環に陥る。
3人しか目立たない状態が続くようでは……。
「これまでは自分たちが求めていた結果ではありません。でもブラジルにいる時、父によく、『雨の次は必ず晴れる』と言われました。それが自分の中にあるので、今は雨ですが、そのうち絶対に晴れてくると思っています。今はテクニックだけじゃなく、精神的に戦う気持ちがすごく大事ですし、そこは今後もやりつづける。自分は誰にも負けたくないが、今の負けからチームが何かを学んでいけば必ず乗り越えていけると思います」
ホーシャのように連敗しても強いメンタルを持ち続けて戦うのは簡単ではないが、気持ちを強く持って戦うことは試合に勝つためには不可欠なこと。
今は戦術うんぬんではなく、むしろそれをしっかり持ち、個人が局面で負けないことが求められる。それができれば大阪ダービーで最下位のガンバがセレッソを破ったように勝ちに結び付けられる。
試合後のミックスゾーンでのホーシャやジョーの殺気立った悔しさを選手全員が共有し、ピッチ上で表現できるかどうか。これからもブラジリアン3人衆しか目立たなければ闇のトンネルはまたつづくことになる。