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Vリーグ、ビジネス化の課題って?
バレー界の人気者・高松卓矢の提言。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byAFLO
posted2018/04/18 11:00
2018/19シーズンから新しい形でのVリーグがスタートする。高松は豊田合成の一員として、初代王者を目指す。
バレーの価値を高めるために必要なこと。
写真や映像として広まり、より大勢の人の目に止まることを願っている。
「ただ、そういう選手のサービス精神とか、もっとお客さんを増やすための試みは、みんなで足並みを揃えてやっていかなければいけない。僕だけで終わったらダメなんです。一人の力には限界がありますから」
理想は「高松がやっているから自分もやろう」だと語るが、残念ながら選手の意識にはまだ大きな差があるのが現状だ。
「バレーボールの人気がなかなか上がらないのは現実だし、日本の人気競技はやはり野球、サッカーが中心で、大きなスポンサーさんはそちらを向いてしまいます。バレーというスポーツの価値を高めるには選手一人一人の心掛けがもっと大事だと思う」
成績は給与に反映されないという懸念。
ただ、「リーグのビジネス化」を理解し、行動を起こすまでには選手側にもある程度の期間が必要だろう。V・プレミアリーグのほとんどの選手は母体企業の社員で、レギュラーとして活躍し、優勝に貢献しようと、ベンチに入れずに1シーズンを終えようと、その「プレーヤーとしての成績」は給与に反映されない。
高松はその点も懸念する。
「ケガなど不測の事態が起きて、チームに必要とされなくなっても会社には残れる。セカンドキャリアを考えれば、企業スポーツは素晴らしいシステムだと僕も思います。ただし、いい面と悪い面を併せ持っていると思います。バレーボールの成績によって給与に優劣がつかないために、ハングリー精神は生まれにくい。結局、プロ野球選手も、海外から来るバレーボール選手も、どれだけがんばったかで給料が変わりますよね。それがモチベーションになっているのは事実だと思います」
では社員契約である高松は、どのようにしてモチベーションを保っているのだろうか。
「僕は単純にバレーボールが好きなのと、負けず嫌いだからですかね。僕は自分が試合に出ていないと納得できない。コートにいないと嫌なんです。ただし現行のシステムだと、バレーボール選手としての評価イコール、給与ではないので、モチベーションを保てない選手も少なからず存在すると僕は感じます。そこを改善していかない限り、リーグのビジネス化は成功しない。そういった課題に対する策も考えていかなければいけないと思います」