沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
珍しい展開の皐月賞を完全勝利。
エポカドーロが乗った2つの流れ。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2018/04/16 11:30
上位人気馬が総崩れになるなか、エポカドーロがニュースターに名乗りをあげた。次走はダービーに直行だ。
緩流と激流の両方を都合よく利用。
藤原調教師が「あそこまで前と離れていると、単騎で逃げていたようなもの」と話したように、エポカドーロは、ゆったりした流れを引っ張って、後ろの馬たちの瞬発力を封じ込めた。
と同時に、先行グループを射程に入れたラスト400mあたりからは、前に行った3頭がつくったハイペースを利して差し切った、とも言える。
つまり、エポカドーロだけは、緩流と激流の両方に乗って、それぞれの流れを自らに都合よく利用したのだ。
戸崎の冷静なタクトに従い、エポカドーロが力を出し切った。なお、オーナーのヒダカブリーダーズユニオンにとっても、生産者の田上徹氏にとっても、初のクラシック制覇となった。
ダノンプレミアムがいたとしても……。
次走の日本ダービーで、この馬だけに権利のある二冠獲得を狙う。
「もともと距離が長くなるとどうかなと思っていましたが、2000mをクリアしたし、何といっても乗りやすいという強みがある。ポジションをとりに行っても、そのあと折り合うんです」と、戸崎は、2400mでの自信をうかがわせる。
藤原調教師も「お母さんが短距離馬で、体型的にもどうかなと思うので、いろいろな工夫をし、ダービーに向けてリスタートします。ポテンシャルがあるので、それをどう生かすかだと思います」と表情は明るい。
エポカドーロにとって理想的な展開になったがゆえの戴冠だったことは確かだが、恵まれたから勝てたわけではない。
もしダノンプレミアムが出ていたとしても、この緩い馬場と、特殊な展開のなか、エポカドーロを凌ぐパフォーマンスを発揮できていただろうか――そう思わせるほどの強さだった。
間違いなく、ダービーの有力候補だろう。