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大谷翔平の陰で牧田和久も好発進。
日米の違いは「皆、楽しそうに」。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2018/04/15 09:00
メジャー各球団は牧田和久を研究しているだろうが、独自すぎるフォームの対策に相当てこずっているに違いない。
日米の文化の違いについて「皆、楽しそう」。
目元だけに浮かべる笑み。考えてみれば彼は、キャンプが始まった時からいつも、そんな表情だったような気がする。
投球練習で投げ込む。守備やけん制球の練習をする。ランニングをする。それらの端々にいつも、どこか涼し気で楽しそうな感じを出していた。
「それはやっぱり、この環境じゃないですかね。こっちではウォーミングアップの時から皆、楽しそうにやっている。日本だとピリピリして精神的に疲れちゃう選手も多いと思うんですけど、それが日米の文化の違いかなと思います。
ましてやこっちの監督、コーチも友達みたいにフレンドリーに喋れる雰囲気がある。そういった意味で誰にもストレスがない。日本だとどうしても上下関係があって上からガガッと言われてストレスを抱えてしまうことが多いですから」
ベースボールではなく、野球道。試合中はもちろん、練習でも歯を見せるなという精神論。歯を食いしばって耐えていく根性論……等々。
「あれは良くない」、「これは良くない」ともう何十年も言われ続けながら、いまだに「昔は良かった」、「今のやり方は生温い」と前に進まない。日本にいた頃の牧田のことはよく知らないが、メジャーリーグにいる牧田は、そんな古い考え方とは無縁な世界で生きている。
元首位打者や錚々たる面子を相手に快投。
マウンド上での彼は、ここまで飄々としながら存在感を示してきた。メジャー・デビューとなった3月30日のミルウォーキー・ブルワーズ戦では、5回2死から1回1/3を投げて1四球のみの無失点。味方投手が九回に逆転を許していなければ「メジャー初勝利」を手にしていたほどの好投だった。
4月3日のコロラド・ロッキーズ戦では9回に登板して2/3回を投げて1安打2四球1失点で回を締めずに降板してしまったが、翌4日には同じ相手にやはり9回を三者凡退。7日には敵地でのヒューストン・アストロズ戦で1回を1安打無失点に抑えている。
その間、牧田はブルワーズの30本塁打以上コンビのドミンゴ・サンタナ外野手とエリック・テームズ一塁手、ロッキーズの通算217本塁打のカルロス・ゴンザレス外野手、2年連続24本塁打以上のトレバー・ストーリー遊撃手、元首位打者コンビのチャーリー・ブラックモン外野手とD.J.レメイヒュー二塁手、そして昨年のア・リーグ最優秀選手のホセ・アルトゥーベ二塁手やカルロス・コレア遊撃手といった錚々たる面子と対戦して、ほぼ完ぺきに抑えてきた。