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大谷翔平の陰で牧田和久も好発進。
日米の違いは「皆、楽しそうに」。
posted2018/04/15 09:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
敵地コロラド州デンバーで行われたロッキーズ戦、サンディエゴ・パドレスが3点を勝ち越して5-2とした直後の7回裏、無死一、三塁のピンチを迎えたところで、パドレスのグリーン監督がマウンドに送ったのは、アンダースローの牧田和久だった。
5番デズモンド、6番パーラ、7番バライカという打順。勝てば今季初の連勝という大事な場面で、グリーン監督は投手交代機に青島通訳を介し、牧田にこうアドバイスしたという。
「三塁走者は返してもいいからな」
あとは言わずもがな、だ。長打を打たれたり、四球を出したりするのは絶対禁物。まずは1アウト。内野ゴロを打たせて併殺で2アウトを取れれば、1点取られて5-3となっても上出来だ。
ところが牧田は、右飛、空振り三振、一邪飛とたった10球で三者凡退に仕留めてしまった。チームは結局、そのまま逃げ切って今季初の連勝を飾った。試合後、グリーン監督は牧田の好投について問われ、冗談半分に笑いながらこう答えている。
「三塁走者は返していいって言ったのに、俺の言うこと聞かなかったね」
大リーグ初ホールドを上げた牧田はその数分後、自分のロッカーの前でこう語った。
「結果的にゼロで抑えられたのは良かった。あまりピンチと考えず、打者ひとりひとりと考えていたので、それがいい方向に向いたのかなと思いますね」
「落ち着いてるように見えますか?」
日本のプロ野球からメジャーリーグへ挑戦した選手たちは総じて、落ち着いている。彼らはほぼ全員、日本のプロ野球で実績を積んでからメジャーリーグを目指すのだから、米国のプレースタイルや周囲の環境、あるいは公式球をはじめとする道具の違いに戸惑うことはあっても、フィールド上での自分のプレーそのもので困惑するようなことはない。
牧田もまた、そんな感じでマウンドに立っている。
「落ち着いてるように見えますか?」と牧田は言う。
「緊張とかは見せないようにしてますからね。3戦目ぐらいからガムを噛むようにしているんですけど、緊張が解けるというか、余分な力が入らないというか、いい感じで投げられていると思います」