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昌子源が説くハリルJでのデュエル論。
個で優る相手といかに戦うのか?
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2018/03/23 11:40
ベルギー・リエージュのスタジアムで調整を進める昌子。マリ、ウクライナとどんな戦いを見せてくれるか。
一番うるさいくらい声を出したい。
それでも自分の強みはわかっている。
「しっかり自分ができることをやる。しっかり声を出して、コミュニケーションを取って、連係を高めれば、そう崩れることはないと思うから。それ以外はあまり言わない(笑)。
百戦錬磨な味方の選手が自分より前でプレーしていても、結局うまくいかないことがあるわけだから。それをしっかりサポートするのが後ろの仕事だと思っている。もし見えないところから相手が入ってきたら『右から来たぞ、左から来たぞ』と当たり前のように声を出せるようになっているので、いつも通りそれを出したい。一番うるさいくらいがいい。とにかく静かな試合にはしたくないですね」
11月の遠征ではブラジル戦とベルギー戦の間に、守備面での大きな修正が行われた。結果こそ2連敗に終わったものの、ベルギー戦ではポジティブな変化が見られた。それを昌子はどう見ていたのか?
「ブラジル戦では個対個の対決で負けていた、そこで個では勝てない部分をチームで補おう、という風に修正できたのがベルギー戦だったと思う。誰かが抜かれても、次の人がしっかりカバーして、という。
そういうのは今回も大事だと思うし、今回に限らず、これからもそういう戦い方をしないといけない。単純な個の力では、結構差があったと外から見て思った。試合には出られなかったけれど、それを生で見られたことだけでも、大きな経験だった。試合を見ながら抱いたイメージというのは忘れずにやっていきたい」
ブラジル戦はデュエル前にやられていた。
ブラジル戦では、ハリルホジッチ監督の掲げる「デュエル」に持ち込む以前の問題だったともいう。
「みなさんも同じことを感じたと思うけれど、デュエルに持ち込む前のファーストタッチで抜かれていたし、身体を当てられず、球際勝負すらさせてくれなかった。駆け引きの上手さがあったし、スペースもあったから抜かれていた。そうなったとき、どこでデュエルに持ち込むかといったら、ペナ内(ペナルティエリア内)だと思っている。
ペナ内だと、ファーストタッチで抜かれるようなスペースがない。そこでガツンとぶつかったときに、いかに勝つか、相手のシュートモーションを崩すとか、相手からわずかでもボールを離すとか、そういうデュエルは日本人でもできると思う。
ベルギー戦での失点シーンもクロスボールからだった。ペナ内でいかにタイトにマークできるのかはとても大事。もちろんレバンドフスキとかは、ペナ内での巧さがあるけれど、そこでハナから負けていたら『どうぞ点を取ってください』ということだから」