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Bリーグで最強に熱いHCは東京に。
ルカ・パヴィチェヴィッチの素顔。
posted2018/03/23 10:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
B.LEAGUE
試合中に熱くなりすぎて判定に異議を唱え、ときにテクニカルファウルをもらうこともある。選手には厳しく指導し、勝利への情熱を隠さない。それゆえに勝利至上主義者であるように見られがちな人物がいる。今シーズンからアルバルク東京を率いる、ルカ・パヴィチェヴィッチだ。
昨シーズンのBリーグファイナルに進出した栃木ブレックスと川崎ブレイブサンダース、そして2年連続で天皇杯を制した千葉ジェッツなど強豪チームが居並ぶ東地区で、現在首位を走るチームを指揮している。
ルカの愛称で呼ばれる彼は2016年に来日。昨シーズンは日本代表のテクニカル・アドバイザーと暫定ヘッドコーチ(HC)を務めた。現モンテネグロ出身で、セルビアやクロアチアなどを含む旧ユーゴスラビア連邦でバスケットボールを学んだ。1987年のU-19世界選手権で優勝し、アメリカのユタ大学でプレー。コーチになってからも、旧ユーゴ圏の国々であるセルビアやモンテネグロの代表チームのほか、ギリシャやドイツのクラブチームでも指揮を取ってきた。
冒頭のように勝利への情熱がピックアップされがちなルカだが、世間のイメージとは違う一面を見せるときがある。試合終了のブザーが鳴ると、それまでの強烈な姿勢から一変、相手チームのHCと和やかに話し込んでいるのだ。
そうした行動を取るのは、どうしてなのか。
そこに目を向けると、彼がアルバルク東京のHCの枠を超えて取り組んでいることの一端が見えてくる。
日本には礼儀正しさ、リスペクトの文化が。
――試合後に相手チームのHCと話し込んでいる姿がたびたび見られますが?
「日本では、私は他のHCとの関係性も楽しんでいます。日本には礼儀正しさや、相手をリスペクトする文化があるからです。ヨーロッパでは勝ちたいという気持ちが強過ぎるということもあるのでしょうが、少しギスギスしていて、なかなかそういう形でのコミュニケーションをとることができません」
――「他のHCとの関係性」とは?
「試合が終われば、その試合のことはもちろん、それ以外のトピックについても色々と話します。チャンスがあれば、自分から積極的にディスカッションをすることもあります。12月31日に駒沢(オリンピック公園総合運動場体育館)で行なわれた千葉との試合のときもそうでしたね」